水に溶けたウランを微生物が安定した化合物に変換できると判明

ドイツのヘルムホルツ・ツェントルム・ドレスデン・ロッセンドルフ(HZDR)やスペインのグラナダ大学などの研究チームが、ウラン鉱山に生息する微生物に特定の栄養源を与えることで、水中のウランの状態が大きく変化することを明らかにしました。ウラン鉱山跡などで生じる汚染水は長期的な処理が必要となる環境問題であり、今回の研究は微生物を利用した新たな処理法につながる可能性があります。
Pentavalent and tetravalent uranium formation via glycerol-stimulated bacteria in mine water | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-026-72560-z
Bacteria turn dissolved uranium into stable compound in 130 days, study finds
https://phys.org/news/2026-07-bacteria-dissolved-uranium-stable-compound.html
ウラン汚染は、過去の採掘活動やリン酸肥料などに由来する世界的な環境問題です。特に鉱山跡地では、地下水や坑内水に含まれるウランが生態系や人体に悪影響を及ぼす可能性があり、長期的な処理が必要になります。
研究チームが注目したのは、ドイツ・ザクセン州のエルツ山地にあるシュレーマ・アルベローダのウラン鉱山跡です。この鉱山は1990年まで世界有数のウラン採掘拠点の1つでしたが、閉鎖後に坑道が水で満たされ、現在も坑内水の処理が続けられています。既存の化学的処理によって汚染物質は減少しているものの、坑内水には依然として約1mg/Lの6価ウラン、つまりU(VI)が含まれており、ザクセン州の排出基準である0.20~0.50mg/Lを上回っています。

by Radioactive Rosca
水中に酸素が多い環境だと、ウランは主にU(VI)という水に溶けやすい形で存在します。一方、微生物などによって4価ウラン、すなわちU(IV)へ還元されると、ウラニナイト(UO2)のような水に溶けにくい鉱物として沈殿しやすくなります。そのため、微生物の働きでウランを水中から動きにくい形へ変える「バイオレメディエーション」は、汚染水処理の有力な選択肢として研究されてきました。
今回の研究では鉱山の坑内水にもともと存在する微生物群集を利用し、酸素のない条件下でグリセロールを加えました。グリセロールは動植物の脂肪の基本成分であり、自然界では菌類による木材分解などでも生じる物質です。研究チームは、約2000mの深さにある鉱山内部では酸素がほとんどないため、実験でもそれに近い条件を再現したと説明しています。
微生物がグリセロールを栄養源として利用できる環境を整えたところ、130日後には水中に溶けたウランの濃度が初期値の1mg/Lから約96%減となる0.04mg/Lまで低下しました。また、グリセロールを加えない対照実験や滅菌した対照実験でも一定の減少は見られましたが、その減少幅は25%から36%程度で、グリセロールによって刺激された微生物活動が大きく寄与したと研究チームは論じています。
さらに研究チームは形成された黒い沈殿物を詳しく調べるため、高分解能X線吸収分光や電子顕微鏡観察などを行いました。その結果、沈殿物にはU(IV)のウラニナイトナノ粒子だけでなく、5価ウランであるU(V)を含むFeU(V)O4ナノ粒子や、U(V)の炭酸錯体が含まれていることが判明したとのこと。
以下の画像は細菌を含む黒い沈殿物から見つかったウランナノ粒子を電子顕微鏡で観察したもの。緑の円はウラニナイト粒子、オレンジの円は5価ウランを含むFeU(V)O4粒子を示しています。

以下のグラフは、黒い沈殿物中のウランがどの酸化状態で存在していたかを示したグラフ。水中のウラン濃度が低下するにつれてU(VI)が減少し、U(IV)が増加しましたが、U(V)も一定の割合で確認されています。

研究チームは、U(V)が単なる一時的な中間状態ではなく、安定した形で存在していた点を強調しています。U(V)はこれまで不安定で短時間しか存在しない状態と見なされることが多く、自然環境に近い坑内水条件で長期間安定するかどうかは明確ではありませんでした。今回の研究では、U(V)が酸素のない条件で少なくとも130日間持続し、さらに酸素に4週間さらされた後も残存することが示されました。
研究チームは当初細菌の細胞壁にウランが取り込まれている可能性を疑っていたとのこと。実際に電子顕微鏡観察では細菌の細胞表面に電子密度の高い凝集体が確認され、その中にウラン、鉄、硫黄が分布していることが示されました。また、ナノ粒子の多くは2~3nm程度の大きさで、分析された231個のナノ粒子のうち55.4%がFeU(V)O4、40.3%がウラニナイト、4.3%が黄鉄鉱と分類されています。
FeU(V)O4は比較的新しく知られるようになったウラン化合物で、2020年の研究ではクロアチアのウラン弾汚染土壌から確認され、25年以上にわたって安定していたとされています。しかし、自然界でこの化合物がどのように形成されるのか、微生物がその形成に関与するのかはわかっていませんでした。
今回の研究は、グリセロールを利用する微生物群集が水中のウランをFeU(V)O4のような安定した化合物へ変換できることを初めて示したものです。
微生物群集を解析したところ、グリセロールの添加によって発酵性細菌や硫酸還元菌が増加していたことも確認されました。発酵性細菌はグリセロールを分解して酢酸、乳酸、水素などを生み出し、これらがウラン還元に関わる硫酸還元菌や金属還元菌の電子供与体として働く可能性があります。研究では、デスルフォバルブス属やデスルフォビブリオ属といった硫酸還元菌が検出され、ウラン還元に適した酸化還元環境が形成されていたことが示唆されています。
この発見はウラン汚染水の処理において、単にU(VI)をU(IV)へ変えるだけでなく、安定したU(V)相を形成させる可能性を示唆するものです。FeU(V)O4が酸化条件でも比較的安定であれば、従来のU(IV)ベースの処理よりも再溶出に強い固定化手段になる可能性があります。ただし、研究チームは、この方法が実際の環境修復に利用できるかどうかを判断するには、環境適合性や長期安定性をさらに調べる必要があると述べました。
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in サイエンス, Posted by log1i_yk
You can read the machine translated English article It has been discovered that microorganis….







