Googleが欧州委員会に「海賊版サイトをDNSリゾルバ・VPN・共有IPアドレスでブロックすると重大な損害をもたらす」と提言

Googleはフランスやイタリアなど一部のEU圏の国において、自社のDNSリゾルバで海賊版サイトへのアクセスをブロックするよう命じられています。しかしGoogleは欧州委員会に向けた意見書の中で、「海賊版サイトのブロックは重大な損害をもたらすため、DNSリゾルバ・VPN・共有IPアドレスを標的にすべきではない」と提言していることが分かりました。
Google Opposes Site Blocking in Europe as U.S. Piracy Blocking Plans Gain Momentum * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/google-opposes-site-blocking-in-europe-as-u-s-piracy-blocking-plans-gain-momentum/
EUの行政執行機関である欧州委員会は、2026年5月から「著作権環境改善のための具体的な取り組みに関する意見募集」を実施しています。この募集はEUの著作権枠組みを調整し、EUのクリエイティブセクターの競争力を向上させ、イノベーションを促進することを目的としているとのこと。具体的には、2019年に発行したデジタル単一市場における著作権に関する指令(DSMD)の見直しに焦点を当てています。
この意見募集に対し、Googleは自社のDNSリゾルバを介した海賊版サイトのブロック命令を批判する意見書を提出しました。著作権関連のニュースを発信するTorrentFreakによると、Googleが提出した文書は「機密扱い」とされていましたが、他の提出文書とともに委員会のウェブサイトに公開されたそうです。
Googleは提出書類で、VPNやサードパーティDNSブロックについて「不均衡で効果がない」と指摘しているほか、IPアドレスのブロックも正当なサイトやサービスのインフラストラクチャを標的にするリスクがあるとして、広範なサイトブロック措置への反対を主張しています。Googleは「DNSリゾルバ・IPアドレス・VPNをブロックしても、コンテンツは削除されず、代替のDNSリゾルバを使用することで簡単に回避できるため、効果がありません。一方で、合法的なサービスまでブロックしたり、国外にも影響が及ぶ恐れがあったり、ドメイン全体をブロックしたりするなど正当なサイトが被害を受ける場合があり、不均衡な措置です」と述べました。

提出文書の中では、Googleの主張を裏付けるための実例が複数挙げられています。2019年12月にポルトガルで発生した事件では、ISPがGoogleの共有IPアドレスをブロックした結果、「Googleのコアサービスを妨害し、同じ仮想IPアドレスを共有している他の無関係なGoogle Cloud顧客の正当なトラフィックを遮断した」とGoogleは主張しています。また2024年10月には、 イタリアの「海賊版対策シールド」と呼ばれるブロック体制がブロック対象を広げすぎたため、イタリア国内でGoogleドライブや複数の学校サイト、通信会社、チケットサービスなどがアクセス不可になった事例が発生しました。
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実際に、世界中のインターネット検閲を監視するプロジェクトであるOpen Observatory of Network Interference (OONI)が2026年6月30日に発表した大規模な実証研究によると、スペインのサッカーリーグであるラ・リーガが裁判所を通じて海賊版サイトブロックの差止命令を取得した後、サッカーの試合中継中に55万4000以上のドメインが少なくとも一度はブロックされたことが判明したとのこと。ブロックされたサイトには、アムネスティ・インターナショナルやユニセフ、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、オーストラリア上院、全米トップクラスの権威を誇る独立した法律学術誌のスタンフォード・ロー・レビュー、Amazon S3のエンドポイントなどのウェブサイトが含まれていたとされています。
Googleは海賊版サイトへの対処は通常の削除措置を優先して行うべきであり、通常の削除措置が失敗した場合の最終手段としてのみ、差止命令を用いるべきだとしています。その上で、差止命令は透明性を確保し、期間を限定し、権利者と仲介業者が実施費用を分担すべきと主張しました。またGoogleは海賊版対策について、「私たちの経験では、消費者の満たされない需要が著作権侵害の主な要因となっています。そのため、著作権侵害に対抗する最善の方法の一つは、より優れた、より便利で、より合法的な代替手段を提供することです」と述べています。
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