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中学教師の3分の2がAIの使用により生徒の思考力が低下していると回答


イギリスの中学校教師を対象に教育組合が実施した調査で、回答者の3分の2がAIを利用することで生徒の作文能力や問題可決能力、思考力などが低下していると感じていることが明らかになりました。

Pupils in England are losing their thinking skills because of AI, survey suggests | AI (artificial intelligence) | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2026/apr/02/pupils-england-losing-thinking-skills-because-of-ai-survey


School students 'losing ability to have a conversation' due to AI | News UK | Metro News
https://metro.co.uk/2026/04/02/school-students-losing-ability-a-conversation-due-ai-27803916/

イギリス政府は学校教育におけるAI活用を推進するデジタル革命を提唱しており、2026年1月には最大45万人の恵まれない生徒に個別学習支援を提供するためのAIツールを開発する計画を発表しました。

これについて、イギリスのブリジット・フィリップソン教育大臣は「AIを活用した個別指導ツールは、若者に提供される個別指導へのアクセスを大きく変革し、ごく一部の幸運な子どもたちだけの特権だった個別指導を、必要とするすべての子どもが得られるようにすることですべての子どもたちが成長・成功できるようになる可能性を秘めています」と語っています。

しかし、全国教育組合が実施した公立学校の教師9000人を対象とした調査では、回答者の49%が政府主導のAI個別指導ツール導入計画に反対しています。政府の教育分野にAIを活用する計画に賛成したのは、わずか14%のみでした。


回答者となった教師はAIがコスト削減のために利用されることを危惧しており、ある回答者は「家庭教師を必要とする学生は、学業面でのサポート以上のものを必要としているケースが多いです。AIがそうしたニーズを満たしてくれるとは思えません」と記しています。

また、別の回答者は「AIチューターでは生徒のやる気は出ないでしょう」と述べ、さらに別の回答者は「恵まれない境遇にある生徒は、AIではなく人間との交流による指導を必要としていあす。そうすることで、社会性を高め、社会的孤立を軽減できます」と回答しました。

調査に回答した教師は生徒がAIを利用することに懐疑的で、試験や宿題での不正行為を助長すると不満を漏らしています。一方で、「仕事でAIに頼る機会が増えている」と回答した教師もいたそうです。


実際、アンケートに回答した76%が「日常業務にAIを活用している」と回答しており、この割合は2025年に実施された同様のアンケートの53%から大幅に増加しています。何にAIを利用しているのか質問したところ、特に多かった回答は教材作成(61%)、授業計画(41%)、事務処理(38%)の3つだそうです。なお、採点にAIを使用していると回答したのは、わずか7%でした。

AI関連の回答では、66%が「音声認識技術の普及により子どもたちがスペルを覚える必要性を感じなくなり、関連能力が低下したと」と回答。回答者の中には「(AIの普及により)生徒たちは、思考力・創造性・文章力、さらには会話の仕方といった、基本的なスキルを失いつつある」と語った人もいるそうです。

別の回答者は「AIは『学習』の本質、つまり問題解決能力、批判的思考(クリティカルシンキング)能力、協調性を破壊している」と回答しています。


また、調査に参加した教師が勤める学校の49%が教職員および生徒向けの「AI使用に関する方針」を一切持っておらず、66%の学校は生徒向けのAI使用に関する方針を持っていないことが明らかになっています。

アンケートに回答した教師からは「職員は適切な使用方法について訓練を受けていないにもかかわらずAIを使用しており、その結果、質の低いAIコンテンツが教育現場で利用されることになってしまっている」や「正しく使用すれば、AIは貴重な教育ツールになり得ると思います。しかし、それには規制と指導が必要であり、すべての学校で職員と生徒のための研修と方針を整備すべきと思います」といった声が上がりました。


全国教育組合のダニエル・ケベデ事務局長は、調査結果について「学生は自ら考えることができなければいけません。これは学習の中核を成すものですが、我々の調査によると、AIへの依存が学生の批判的思考能力に影響を与えている事も明らかになっています」と語っています。さらに、イギリス政府のAI施策について「教育業界は、AIチューターが恵まれない生徒の機会格差を解消する万能薬だとは到底考えていません。政府はAIの影響が十分に理解される前に、AIチューターを導入すると発表し、リスクを冒しています」と批判しました。

一方、イギリス政府の報道官は全国教育組合の調査結果を受け、「我々の使命は、家庭環境と成功の間のつながりを断ち切ることです。AIによる個別指導ツールの導入は、それを実現する上で役に立ちます。これまで恵まれたごく一部の子どもたちにしか提供されてこなかった、ひとりひとりに合わせた学習支援を、必要とするすべての子どもたちに拡大できるのですから。いかなる技術も、生徒たちが将来の人生に備えるための基礎知識や学問的思考力を代替するものであってはなりません。しかし同時に、子どもたちをデジタル化された世界に対応できるよう準備させる必要もあります。だからこそ、我々の学校教育白書では、AIが安全に、批判的に、そして責任を持って使用されるよう明確な計画を提示し、すべての若者が成果を上げ、成長できるよう支援しています」とコメントしました。

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in AI, Posted by logu_ii

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