ダークパターン:ゲームはあなたを操っているのか?

ゲーム業界におけるダークパターンと呼ばれるユーザー行動を不当に操作するデザイン手法について、ゲーム開発者のクリス・ウィルソン氏が自身のYouTubeチャンネルで解説しています。
Dark Patterns: Are Your Games Playing You? - YouTube

◆ダークパターンとは何か
ダークパターンとはユーザーの行動を意図的に操作するデザインを指し、通常はユーザーに予定以上の支出やエンゲージメントを促すために使用されます。
ウィルソン氏は一般的な例として、ホテル予約サイトが「残り1室のみ。4人が今閲覧中」といった希少性の警告を表示・登録は簡単だが解約が困難なサービス・購入者に罪悪感を与えるような「定価で支払いたい」といった確認ボタン・配送保険などのオプションが自動的に追加される仕組み・「まだ購入していない商品があります」というポップアップなどを挙げています。
◆ゲームにおけるダークパターンの具体例
ゲームを5段階で評価するアンケートを表示し、ユーザーが5つ星を選択するとアプリストアに移動してレビューを残すように促し、5つ星以外の評価を選択すると開発者へのフィードバックフォームに移動するように仕組めば、アプリストアでのレビューを高評価に偏らせることができます。

◆欺くユーザーインターフェース
画面に表示する情報を操作することで意図せず高額な購入を促す手法があり、例としてアイテムのスロットに現金で購入したジェムを追加することでレベルアップの効果を得るシステムで、初期段階では実際の最大スロット数よりも少ないスロット数を表示しておくと、ユーザーは見た目上のスロット数で最大の効果が得られると思いジェムを購入しますが、見た目上の全てのスロットを埋めたと同時に隠されていたスロットが出現し、追加の購入が必要となることが明らかになります。ユーザーは最大の効果を得たいという心理から、続けて予定外の購入を行うとのこと。

◆デイリーログイン報酬と継続報酬
毎日ログインすると報酬のランクが上がり、ログインが途切れると報酬が最低レベルにリセットされる仕様を用意すると、ユーザーは報酬が途切れないようにしたいため、毎日ログインすることが義務のようになります。ウィルソン氏によると「友人はログインによる継続報酬を維持するために、キャンプ旅行中でもノートパソコンと3Gモデムを持って6キロメートル先の通信ができる場所まで歩いていた」とのこと。なお、途切れた報酬を課金で復元できるようにすることで収益を得つつ、ユーザーに継続性を維持させるという手法もあります。

◆社会的義務を利用したダークパターン
ギルドやクランなどで専用のクエストを完了させるノルマや獲得したリソースを寄付する義務を与えると、タスクを果たさないと仲間を失望させるという罪悪感や社会的圧力から毎日プレイするようになります。他にも、ユーザー間でギフトを贈ることで追加のボーナスが与えられる仕様を用意すれば、ギフトを返す必要性を感じさせます。さらに友達紹介ボーナスを用意することでねずみ講のようなシステムを組むことさえ可能です。

◆時間制限のあるタスク
作物が適切な時間に収穫されないと枯れてしまう農業ゲームで普及したこの仕組みは、ゲームがユーザーのスケジュールを制御し、時には真夜中に起きてボタンをクリックすることを強制することさえあります。

◆人工的な希少性
アイテムの数を制限することでユーザーの購買欲を高める手法があり、ガチャと同じく多くの販売を促すだけでなく、ユーザーが欲しいアイテムの在庫があるかどうかを確認するために毎日ゲームにログインするように促せます。

◆プレミアム通貨のトリック
ゲーム内のプレミアム通貨に関連するダークパターンとして、プレミアム通貨パックを欲しいアイテムの購入には少し足りないように設計することで、ユーザーが計画していたよりも一度に多くのプレミアム通貨を購入させることができる、というものがあります。他には、高価なアイテムの隣に安価なアイテムを配置することで、より価値があるように見せることができます。

◆期間限定イベント
一部のゲームは期間限定または季節限定の特別なゲーム内または収益化イベントを採用することでユーザーに「二度と利用できないかもしれない」と不安を与えます。

◆付与された進捗効果
目標達成に向けて最初から少し進捗が与えられていると、人はゼロから始めるよりもモチベーションが高まり、ゴールに向かって努力しやすくなるという心理効果、いわゆるエンダウド・プログレス効果と呼ばれる現象があります。例として、バトルパスを購入する際に、経験値もしくはノルマと共に報酬が解放される報酬リストの一部をあらかじめ解放しておくと、すぐに報酬が得られる買い得感と続きの報酬を解放したいというモチベーションを与えることができます。

◆なぜダークパターンが使用されるのか
ユーザーの自由時間は限られていることから、自社のゲームのマインドシェアと利益を確保するための手段として、依存性と収益性を簡単に高めることができるダークパターンの実装が行われます。
◆ダークパターンの利点
ウィルソン氏によると「お気に入りのゲームのデイリーボーナスや特別イベントを楽しんでいるユーザーも居ることは確かで、一部の開発者は『少しの心理的な後押しがゲームの楽しみを高めることができる』と主張しており、期間限定イベントにおいてもイベントが興味深い新しいコンテンツで構成されている場合は問題はありませんし、ログイン報酬も常に同じ報酬のみ得られる場合は、ログインしないことのペナルティが1日分の報酬を逃すだけであるため、ユーザーは報酬が十分であれば満足します」と述べています。
◆ダークパターンの弊害
一方、新しいコンテンツを導入しない期間限定イベントは危険で「数年前、あるゲームディレクターの仲間が運営していたゲームにおいて、バージョンアップまでの期間内のユーザー活動を増やしたいと思い、週末限定の経験値2倍イベントを実行したところ大成功となり通常よりもはるかに多くのユーザーがプレイしました。しかし、イベント後ユーザーの活動数は以前よりも落ち込んだため、再び週末限定のイベントを実行します。何回かイベントを繰り返したところ人々は平日にプレイすることに価値を失い、イベントのある週末のみプレイするようになっていき、最終的に彼らはゲームを停止せざるを得ない状態に追い込まれました」という事例が挙げられていました。
◆ウィルソン氏の個人的な意見
ウィルソン氏は「ゲーム自体の実際の設計に関しては、ほとんどすべてが公正だと考えています。ゲームデザイナーとして本当に楽しいゲームを作るために、人間の脳がどのように機能するかを理解することは必要です。しかし、定着性やゲーム以外の要素、収益化のためにダークパターンを用いることについては、明確に一線を画すべきだと考えています。期間限定イベントを逃すまいと必死にプレイさせられる『取り残される恐怖』に支配されたくはありません。ログイン記録を維持するためだけに毎日アクセスしたり、ボーナスのために義務的なプレイをこなしたり、報酬目当てに友人を勧誘するスパムを送ったりする必要などないはずです。過去のゲームは、ユーザーを操作するのではなく、純粋に楽しませるために設計されていました。当時の開発現場には、人間の脳をハックしようとする行動科学者や心理学者の姿などなかったのです」と述べています。

◆開発者は何をすべきか
ウィルソン氏はまた「ゲーム開発者としてダークパターンを採用する前に慎重に考える義務があります。ユーザーに対してドロップ率を正確に伝えること・十分な長さの期間限定イベントを用意すること・イベントの報酬が排他的であるべきか、再度同じイベントで報酬を入手できるようにするかなど慎重に検討してください。開発者はユーザーがゲームをプレイする時間にとらわれないゲームの概念について考える必要があり、何かを追加している理由が、人為的により多くの定着性を促したり、収益化を高めたりするからではなく、より多くの楽しみを追加することであることを確認してください」と主張しています。
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in ゲーム, Posted by darkhorse_logmk
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