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「宇宙AIデータセンター」の展開を巡ってイーロン・マスクのSpaceXやジェフ・ベゾスのBlue Originが争っている


AI需要の増加に伴って世界のさまざまな地域にデータセンターが建設される中、「宇宙空間にAI用のデータセンターを打ち上げる」という計画も進められています。一見するとSFのようにも思える計画ですが、テスラCEOのイーロン・マスク氏が率いるSpaceXやAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏率いるBlue Originなどが、宇宙AIデータセンターの設置を巡って競争しているとウォール・ストリート・ジャーナルが報じました。

Exclusive | Elon Musk’s SpaceX and Jeff Bezos’ Blue Origin Race To Bring Data Centers to Space - WSJ
https://www.wsj.com/tech/bezos-and-musk-race-to-bring-data-centers-to-space-faa486ee


SpaceXとBlue Originは長年、ロケット開発や人工衛星の打ち上げで競い合ってきましたが、近年ではAIデータセンターの宇宙展開でも争いを繰り広げています。事情に詳しい関係者によると、Blue Originは「軌道上AIデータセンター」に必要な技術を開発するため、1年以上にわたってチームで取り組んでいるそうです。また、SpaceXもStarlink衛星の改良版を用いてAIコンピューティングペイロードをホストする計画で、この技術を株式売却の一環として売り込んでいると報じられています。

AIデータセンターを宇宙に設置することのメリットとしては、「AIモデルのトレーニングに必要な膨大な電力を太陽光発電によって確保できる」という点が挙げられます。

マスク氏は2025年11月、Xに「スターシップは年間約300GW、おそらく年間500GW規模の太陽光発電式AI衛星を軌道に投入できる見込みです。『年間』という点がこの計画を画期的なものにしています。アメリカの平均電力消費量は約500GWであるため、年間300GWのペースで宇宙空間に展開されるAIは、わずか2年間で知能処理能力においてアメリカ経済全体を上回る規模に達します」と投稿しました。


また、ベゾス氏は10月にイタリアで開催されたイベントで、宇宙空間で利用可能な太陽光発電能力を考慮すると、データセンターを地球の軌道上に移転することは理にかなっていると述べました。軌道上へのデータセンター移転が、地上でAIインフラを建設するコストより安くなるには時間がかかりますが、20年かそれ未満で実現するとベゾス氏は予測しています。


AIデータセンターの宇宙展開を支持する人々は、AIアプリケーションの基盤であるコンピューティングを担うチップを人工衛星に搭載し、これを軌道上に多数配置することを構想しています。これらの人工衛星は宇宙空間を高速で飛行しつつ、太陽光発電による膨大なエネルギーを使って計算処理を行い、データを地球に送信するとのこと。

宇宙にAIデータセンターを設置するというアイデアは、AIや宇宙技術の携わるリーダーたちを引きつけています。Googleは11月、Google独自のAIアクセラレータチップであるTPUを搭載した人工衛星群を構築する「Project Suncatcher」を提唱しました。

Googleが人工衛星にAIチップを搭載して宇宙に打ち上げる「Project Suncatcher」を提唱 - GIGAZINE

by NASA Goddard Space Flight Center

Googleは今後のステップとして、2027年初頭までに2基の試作衛星を打ち上げるミッションを計画しています。これはあくまで、人工衛星をAIコンピューティングクラスターとして運用するための、主要要素の実証を目的としたものだとのこと。

しかし、AIデータセンターの宇宙展開には、軌道上に配備されたAIチップの温度管理や宇宙放射線からの保護、長い遅延なしで大量のデータを地球に送信する方法など、さまざまな技術的ハードルが立ちはだかっています。

大量のAIデバイスを軌道上に配備するコストも問題です。たとえば、1つの人工衛星が100kWクラスであると想定すると、GWクラスのデータセンターを宇宙に展開するには1万基の人工衛星を打ち上げる必要があります。そのため、特に地球における電力の制約が緩和された場合、宇宙にデータセンターを設置することにコスト面での優位性がなくなる可能性があるとのこと。

それでも多くのテクノロジーリーダーたちは、AIデータセンターの宇宙展開というアドバイスに魅力を感じています。ウォール・ストリート・ジャーナルは、OpenAIのサム・アルトマンCEOがロケット事業者を買収し、宇宙空間にAIコンピューティングを展開できるかどうかを検討していると報じています。また、ロケット開発を行うRelativity Spaceを買収した元GoogleCEOのエリック・シュミット氏も、軌道上データセンターについて語っています。

IBMの子会社であるレッドハットと宇宙開発企業のアクシオム・スペースは8月、軌道上データセンターの打ち上げ計画について発表しました。さらに、宇宙太陽光発電テクノロジーを開発するAetherfluxも、同社初のデータセンター衛星を2027年初頭に打ち上げる計画を明らかにしました。

The scramble to launch data centers into space is heating up | The Verge
https://www.theverge.com/news/841887/data-center-space-solar-power-aetherflux-lunch

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in AI,   ハードウェア, Posted by log1h_ik

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