DNAを用いてデータを長期保存できる大容量カセットテープシステムが開発される、理論上は1km当たり362ペタバイト保存可能

DNAは「アデニン(A)」「チミン(T)」「グアニン(G)」「シトシン(C)」という4種類の塩基の並び順によって遺伝情報を保存しており、DNAの情報保存能力をテキストや画像といった電子データの保存に役立てようとする研究が進められています。新たに、中国の南方科技大学の研究チームがDNAを用いてデータを保存できるカセットテープ型のデバイスを開発しました。理論上はテープ1km当たり362ペタバイト(362000テラバイト)ものデータを保存できます。
A compact cassette tape for DNA-based data storage | Science Advances
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.ady3406
現代のコンピューターはデータを「1」と「0」の2種類の値の羅列で表現しています。一方で、DNAは「A」「T」「G」「C」の4種類の値を使用するため、既存のデータ表現形式よりも高い密度でデータを保存できます。また、100万年以上前の生物のDNAが現在まで保存されていることからも分かる通り、DNAにはデータを長期間保存可能というメリットがあります。
研究チームはデータを「A」「T」「G」「C」の配列に変換し、その配列通りに構築したDNAをテープに配置するという手法を考案しました。この方法を使うと、理論上は1km当たり362ペタバイトのデータを保存可能です。ただし、「各DNAの位置情報を記録するためのバーコード」のスペースが必要となるほか、DNAの損失などによるエラー耐性を確保する必要もあるため、現実的な保存容量は1km当たり74.7ギガバイトほどになると推定されています。

データはカセットテープレコーダーのような形状のデバイスで読み取ります。デバイス内にはバーコードリーダーや光学センサー、各種溶液が収納されます。

データを読み取る際は、まずバーコードリーダーを用いて「目的のDNAがある領域」を探し、光学センサーでDNAの配列を読み取ります。

カセットテープと読み取りデバイスは手で持てる大きさ。

DNAカセットテープは現時点では実験的な段階であり、「3つの画像ファイルを復元して、1つの画像ファイルを再配置する」という操作に150分かかるとのこと。将来的に、大容量のデータを保存できる小型のストレージシステムが実現することが期待されています。

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in サイエンス, Posted by log1o_hf
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