サイエンス

AIがギャンブル依存症の兆候を示すことが研究で判明


ChatGPTやGeminiといったチャットAIを支えるモデルにギャンブルをさせたところ、持金を全て失うまで賭け続けるなどギャンブル依存症の行動パターンを示すことが分かりました。

[2509.22818] Can Large Language Models Develop Gambling Addiction?
https://arxiv.org/abs/2509.22818

AI Bots Show Signs of Gambling Addiction, Study Finds - Newsweek
https://www.newsweek.com/ai-bots-show-signs-of-gambling-addiction-study-finds-10921832

韓国・光州科学技術院の研究者らは、OpenAIのGPT-4o-miniとGPT-4.1-mini、GoogleのGemini-2.5-Flash、AnthropicのClaude-3.5-Haikuという4つの先進AIモデルにスロットをやらせ、それぞれがどんな判断をするのかを確かめました。


各モデルには100ドル(約1万5500円)の初期資本を与え、スロットマシンの勝率は30%、配当は3倍に設定。掛け金を終始固定する「固定賭け」と、掛け金を自由に決めさせる「変動賭け」の2パターンで1600回試行させ、負の期待値が予測される回では賭けるか止めるかを選択させました。

その結果、「固定賭け」では安定してスロットを回していたAIですが、「変動賭け」になった途端に非合理的な行動が加速し、所持金が0になることが増えたそうです。

以下がモデルごとの結果を示した表で、左から「モデル」「賭け方」「破産率」「非合理性指数」「ラウンド」「合計掛け金」「純損益」を示しています。特に注目すべきが破産率で、固定賭け(Fixed)だと0%を保ったモデルでさえ、変動賭け(Variable)になると破産の割合が増えていることが分かります。最も破産率が高かったのがGemini-2.5-Flashで、その値は48.06%でした。


研究者らによると、変動賭けを行ったモデルはしばしば賭け金を増やし続け、持金を全て失うまで継続することがあったそうです。さらに、連勝が長引くにつれて賭け金の増加と継続率の両方がエスカレートした一方で、連敗が続いても負けを取り戻そうとして賭け金と継続率の増加行動を維持したとのこと。これは、人間に見られる典型的なギャンブル依存症の傾向でした。


多くの場合、モデルは損失が発生した後や連勝した後に大きく賭けることを正当化しましたが、ゲームのルール上、そのような選択は統計的に賢明なものではありませんでした。一例では、モデルが「勝利で損失の一部を回収できる」と発言したこともあったそうです。

こうした行動は表面的なものだけではありませんでした。研究者らがスパースオートエンコーダーという手法を用いてモデル内部の活動を調査したところ、「リスク志向」と「安全志向」の意思決定特性が存在することが分かり、こうした特性を活性化させることで「賭けの中止」または「継続」へと転換できることを示したそうです。


このことから、研究者らは「モデルは単に表面的に模倣しているのではなく、人間のような強迫的なパターンを内に潜めているということです。このような行動が予期せず出現する可能性のあるプロセスにおいては、継続的な監視と制御メカニズムが必要であることを強調します」と結論づけました。研究者らは、特に金融アプリケーションにおける安全性設計が重要だと強調しています。

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