HDDの故障を予測する「バスタブ曲線」にさらなる変化が加わったことが判明

クラウドストレージサービスを提供しつつ、運用するHDDの故障率などのレポートを公開しているBackblazeが、HDDの故障予測に用いられる「バスタブ曲線」の最新の状況を明らかにしました。Backblazeは2021年にもバスタブ曲線の変化を報告していますが、状況はさらに変化しているようです。
Are Hard Drives Getting Better? Let’s Revisit the Bathtub Curve
https://www.backblaze.com/blog/are-hard-drives-getting-better-lets-revisit-the-bathtub-curve/
HDDの故障率は、まず初期不良が確認されるので運用開始時は高めで、だんだんと安定動作するようになって落ち着いていき、そのうち使用時間が長くなることで摩耗故障が発生するようになっていって再び故障率が上がっていくという、U字型の「バスタブ曲線」になるというのが定説でした。
しかし、クラウドストレージサービス業者のBackblazeは、運用している大量のHDDのデータをもとに分析を実施し、2021年にバスタブ曲線に変化があることを報告しました。Backblazeは、以前に比べて摩耗故障の発生時期が遅くなったことについて「バスタブの幅が広がった」と言及しています。
HDD・SSDの使用時間と故障率の関係を示す「バスタブ曲線」に変化あり - GIGAZINE

2021年のレポートから4年、Backblazeが新たなレポートを公開しました。このレポートにあたり、Backblazeはバスタブ曲線について「バスタブから水が漏れるどころか、シャワー室の入口にある足首の高さの壁に似ている」と表現しています。
その理由は、ストレージ製品の性能が向上して、寿命も延び、かつて「バスタブ」を形成していた「初期不良」「安定した中期」「緩やかな衰退」という整ったストーリーがもはや当てはまらないためだとのこと。
Backblazeが示した2025年時点の故障率グラフはこんな感じ。横軸が時間、縦軸が故障率の高さを示しています。Backblazeが分析したように、いわゆる「初期不良」はそれほど多くなく、その後、「初期不良が落ち着いた安定した中期」もありません。

2013年と2021年時点のものと時間をそろえたグラフも公開されています。2013年時点(青線)では大きな波があり確かに「バスタブ」のように水を貯められそうな凹みがありますが、2021年(黄線)は波が全体的に引き伸ばされたような形になり、2025年(赤線)は小波になっています。

こうした変化についてBackblazeは、かつてのバスタブ曲線は「デバイスが同一で、同じ条件で動作している」「エラーは独立して発生するもので、原因は主に動作の経過時間によるもの」「製品が寿命を迎えるまで使用環境は維持される」といった前提に基づいて考えられていて、作業負荷や製造時の個体差、ファームウェアの更新などが考慮されていないと指摘。その上で「バスタブ曲線が間違っているわけではなく、不完全だということ」と説明しています。
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