サイエンス

ADHDだと診断された成人は抗うつ薬の使用量が減るという研究結果


ADHDは不注意や多動性、衝動性を特徴とする神経発達障害であり、成人になっても症状が持続することが多くあります。フィンランドで行われた大規模な調査では、ADHDだと診断された成人は、診断後に抗うつ薬の使用量を減らす傾向があることが示されました。

Use of Antidepressants Decreased After Initiation of ADHD Treatment in Adults—A Finnish Nationwide Register Study Describing Use of ADHD and Non‐ADHD Medication in People With and Without ADHD - Westman - 2025 - Acta Psychiatrica Scandinavica - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/acps.70007


Antidepressant use declines in adults after ADHD diagnosis, large-scale study indicates
https://www.psypost.org/antidepressant-use-declines-in-adults-after-adhd-diagnosis-large-scale-study-indicates/

ADHDを持つ成人の多くは集中力や課題の遂行能力、感情のコントロールといった点に長期的な困難を抱えており、うつ病や不安症と誤診されることもあるとのこと。その結果、根本的な問題であるADHDが特定される前に、抗うつ薬や抗不安薬を服用してしまう場合があるそうです。


そこで、フィンランドの医薬品関連企業であるOriolaの研究者らは、ADHDの治療がその他の疾患の治療薬使用にどのような影響を及ぼすのかを調査しました。

Oriolaの上級科学者であり論文の共著者であるTuire Prami氏は、「特にフィンランドでは、ADHDの診断増加と治療薬の使用について、活発な公的議論が進行中です」「私たちは、全国を代表する集団において、ADHD患者がADHDと診断される前にどのような治療を受け、診断後にどのような薬を使用したかをさらに詳しく調べたいと考えました。そしてこれらの結果を対照群の結果と比較しました」と述べています。


研究チームはフィンランドの全国規模の登録データを利用して、2015年~2020年に新しくADHDだと診断された人々を特定。そして医薬品の処方データや診断コード、保険記録などを用いてADHDの状態を確認しました。また、ADHD患者を対照群と比較するため、ADHD患者1人につき年齢や性別、居住地域などが一致する非ADHDの被験者を最大4人マッチングさせたとのこと。

こうして抽出された合計で6万6000人以上のADHD患者と、25万6000人以上の対照群を含む被験者について、研究チームは2010年~2021年にかけて購入・服用した薬剤について追跡しました。また、ADHD患者ではADHDだと診断される前後で、薬剤の購入パターンがどのように変化したのかも調査されました。

その結果、成人のADHD患者の多くが、ADHDの診断を受ける前に抗うつ薬を服用していたことがわかりました。さらにこれらの患者は、ADHDの治療開始後に抗うつ薬の使用量が著しく減少していたことも判明しました。

対照群ではこの傾向が見られなかったことから、ADHDで抗うつ薬を服用していた人々が諸症状の原因だったADHDを治療し始めた結果、抗うつ薬の使用量が減ったと考えられます。言い換えれば、成人の中には根本的な原因が未診断のADHDであったにもかかわらず、うつ病や不安症の治療を受けていた人が多数いた可能性があるというわけです。

また、小児では精神疾患の治療薬以外の薬剤において同様のパターンがみられました。ADHDの小児は診断前、同年代の小児よりも抗生物質や抗炎症薬、ぜん息治療薬などを処方される割合が多かったものの、ADHDの治療が始まってからは、対照群と比較してこれらの薬剤の使用量が急激に減少したと報告されています。


ADHD患者は診断前に抗てんかん薬や抗精神病薬、睡眠薬、メラトニン、胃酸逆流症の治療薬などを処方されていた割合が高いことが示されています。この傾向は、「未診断のADHDを抱えて生活することによる精神的・肉体的苦痛を緩和するため、ADHD患者は多様な薬を服用している」という説を裏付けるものです。

Prami氏は、「ADHDの診断は難しい場合があります。特に成人の場合は診断が遅れているため、症状の改善やうつ病などその他の疑わしい疾患の治療を最初に受ける可能性があり、その傾向が顕著です」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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