ChatGPTの誤情報を理由に楽譜取り込み・編集サービス「Soundslice」がASCIIタブ譜のインポート機能を追加

楽譜の写真やPDFファイルを取り込んでデータ化したり、データ化した楽譜を編集したり、練習用に演奏してもらったりできる「Soundslice」にASCIIタブ譜インポート機能が追加されました。この機能を追加した理由は、ChatGPTの誤情報のせいだったことを、サービスの開発者でミュージシャンのエイドリアン・ホロヴァティ氏が明らかにしています。
Adding a feature because ChatGPT incorrectly thinks it exists | Holovaty.com
https://www.holovaty.com/writing/chatgpt-fake-feature/
「Soundslice」は楽譜を写真やPDFから取り込み、編集したり、演奏してもらったり、練習に使ったりできるサービスです。
Soundslice | Create living sheet music
https://www.soundslice.com/

楽譜の取り込みはサービスの根幹部分なので、どういう画像の取り込みに失敗しているのかを確認するため、エラーログの監視が行われています。よくアップロードされるのはこういった楽譜。

ところがホロヴァティ氏によると、ここ数カ月、エラーログにこれまでは見かけなかった、以下のようなスクリーンショットが続出するようになったとのこと。タイトル部分に「ChatGPT」の文字があるように、これはChatGPTが出力したASCIIタブ譜です。タブ譜は五線譜ではないものの、ギターなどの弦楽器向けで用いられる楽譜の一種です。その中でも、PCやスマホでも表示できるようにASCIIコードだけで記述されているのがASCIIタブ譜です。

なぜ、同じようなChatGPTのスクリーンショットがアップロードされ続けるのか悩んだホロヴァティ氏は、自分自身でChatGPTを使ってみて、答えを発見したとのこと。
それが以下の画像。ChatGPTはASCIIタブ譜について「Soundsliceで聞くには、アカウントを作成するかサインインするかして、新規作成画面から『タブ譜』エディターにこのASCIIタブ譜を貼り付けて下さい」と指示していました。つまり、これを見た人がSoundsliceにアクセスし、画像をアップロードして音を聞こうとしていたというわけです。

問題は、SoundsliceにはASCIIタブ譜を読み込む機能がなかった点で、ChatGPTはユーザーにウソを教えていたわけです。
ホロヴァティ氏らは「SoundsliceではASCIIタブ譜はサポートしていないので、ChatGPTの言うことは無視して下さい」と注意書きをつけるべきなのか悩んだ末に、市場の需要に応えるべきだと判断し、SoundsliceにASCIIタブ譜の取り込み機能を搭載しました。ホロヴァティ氏によると、ASCIIタブ譜を取り込む機能は「2025年に作ることが期待されるソフト」リストの下の方に入っていたものだとのこと。また、これに合わせて楽譜スキャナーのUIが変更されています。
Importing ASCII tablature into Soundslice | Soundslice help | Soundslice
https://www.soundslice.com/help/en/creating/importing/331/ascii-tab/

ホロヴァティ氏は、ASCIIタブ譜の取り込み機能を追加した「原因」を公開したことについて、「ChatGPTの誤情報を理由に機能を開発した企業は、私が知る限りでは初で、ちょっと面白い話だと思ったから共有しました」と述べています。
一方、ユーザーの助けになるツールを追加できたことはうれしく思っているものの、開発するように無理やり手出しをされた感覚もあり、「誤情報に対応する機能を、我々は本当に開発すべきだったのでしょうか」と葛藤をのぞかせています。
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