TIMEが「AI界で最も影響力のある人物」に挙げたダニエル・グロスがAIベンチャーのSafe SuperintelligenceからMetaへ移籍

by TechCrunch

クラウドサービスを横断して検索できる検索エンジン「Greplin」(のち「Cue」)の創業者で、2024年6月に元OpenAIのイルヤ・サツキヴァー氏らとともにAIベンチャー「Safe Superintelligence(SSI)」を立ち上げたダニエル・グロス氏がMetaに移籍しました。これを受けて、サツキヴァー氏がSSIの新CEOに就任しています。

Ilya Sutskever is CEO of Safe Superintelligence after Meta hired Gross
https://www.cnbc.com/2025/07/03/ilya-sutskever-is-ceo-of-safe-superintelligence-after-meta-hired-gross.html

Sutskever takes command of SSI as Gross jumps ship to Meta
https://www.cryptopolitan.com/sutskever-leads-ssi-as-gross-jumps-ship/

グロス氏は1991年生まれ。19歳のとき、起業を支援するYコンビネータに「史上最年少創業者」として参加し、あらゆるクラウドサービスを横断して検索できる検索エンジン「Greplin」を起業。フォーブスによって「30歳以下の30人」のテクノロジー部門に選出されたほか、BusinessInsiderの「シリコンバレーの25歳以下・25人」にも選ばれました。

Greplinは2012年にCueと改称し、2013年、Appleによって買収されました。グロス氏は機械学習担当ディレクターとしてAppleに所属し、フォーブスの「テック界で影響力のある30歳以下の若者30人」に選ばれています。

その後、Appleを抜けてYコンビネータを経由し、起業ファンド「Pioneer」を設立しました。

2020年代に入るとAIへの投資を開始。TIMEの選ぶ「AI界で最も影響力のある人物」の1人に挙げられました。2024年には、元OpenAIのイルヤ・サツキヴァー氏らとともにSSIを創業しました。

AIに力を入れるMetaのマーク・ザッカーバーグCEOはSSIに興味を持ち、買収も検討したそうですが、抵抗に遭い断念。それでも有能な人材は欲しかったようで、SSIのCEOだったグロス氏を引き抜くことに成功しました。

Metaのマーク・ザッカーバーグは最も優秀なAIエンジニア＆研究者をまとめた「ザ・リスト」をベースに引き抜きを画策している - GIGAZINE

グロス氏の離脱を受けて、SSIの新CEOにはサツキヴァー氏が就任しました。CEO就任にあたり、サツキヴァー氏はSSIチームと投資家向けに以下のメッセージを発表しています。

「ご存じの通り、ダニエル・グロスの在任期間が終わりに近づき、6月29日をもって正式にSSIメンバーではなくなりました。会社創業時からの彼の貢献に感謝するとともに、今後の活躍を願っています。

現在は私が正式にCEOで、ダニエル・レヴィが社長です。技術チームは、引き続き私に報告を上げる体制です。SSIを買収しようとする企業があるという噂をご存じかもしれませんが、そういった噂が出ることは光栄だと考えています。

我々には計算能力があり、チームがあり、何をすべきかが分かっています。我々はともに、安全な超知性を構築し続けます」