トランプ大統領がAppleにDEIをやめろと要求

by iphonedigital

ドナルド・トランプ政権の政策に対応するため、複数の大手ハイテク企業が多様性・公平性・包括性(DEI)へのコミットメントを終了する動きを見せています。Appleはこれに反発していたのですが、トランプ大統領はAppleを名指しし、批判しました。

Donald Trump tells Apple to "get rid" of diversity programs after shareholders back them | TechSpot
https://www.techspot.com/news/106932-donald-trump-tells-apple-get-rid-diversity-programs.html

Trump blasts Apple over DEI on Truth Social
https://appleinsider.com/articles/25/02/26/president-trump-is-irritated-about-apple-not-completely-killing-dei-initiatives

2025年1月20日にアメリカ大統領に就任したトランプ氏は、就任早々「過激で無駄の多い政府のDEIプログラムと優遇措置の廃止」という大統領令に署名し、ジョー・バイデン前大統領が進めたDEIに基づく支援策をすべて廃止しました。

トランプ大統領の政策に対応するため、Google、Amazon、Metaなど複数の大手ハイテク企業がDEIの廃止・縮小を進める中、AppleはかねてからDEI廃止に反対しており、保守系シンクタンクの国立公共政策研究センターから提案された「DEIの取り組みを終わらせたらどうか」という提案が2025年2月25日の株主総会で審議される予定であることを受けて、株主に対して反対票を投じるよう要求するなど、徹底した姿勢を貫いてきました。

この投票は株主総会で否決され、AppleのDEIへの取り組みは継続されることになりました。Appleは今回の提案について「我が社にはあらゆるリスクに対処するための適切なコンプライアンス手続きがすでにあり、廃止の提案はAppleの通常の事業運営、人材、チーム、事業戦略を管理する能力を制限しようとする不適切なものである」と説明し、自社の経営体制を自社で決めることこそが重要だと強調しました。

なお、国立公共政策研究センターはコストコの年次総会でも同様の提案をしており、ここでも否決されています。

トランプ大統領はAppleの姿勢に反発し、2025年2月26日、自身が所有するSNS「Truth Social」でAppleを非難する声明を投稿。「AppleはDEIルールを廃止すべきだ。DEIはデマであり、私たちの国にとって非常に悪いものだった。DEIはもうない！」と伝えました。

Appleのティム・クックCEOは「法的な状況の変化として多様性プログラムに何らかの変更を加えなければならない可能性はありますが、私たちは帰属文化を継続し続けます」と語ったとのことです。

クックCEOは今後4年間でアメリカの製造業に5000億ドル(約74兆6000億円)の投資を行うことを発表するなど、トランプ大統領とより緊密な関係を築こうと努力しています。この投資に対してトランプ大統領は「背景には我々政府がやっていることへの信頼がある」と述べ、Appleを称賛していました。

なお、DEIへの支援を継続している企業と撤回した企業のリストは以下の記事にまとめています。

多様性・公平性・包括性(DEI)を「撤回」したグローバル企業と「擁護」している企業の一覧、日本からは2社がリスト入り - GIGAZINE