サイエンス

AIと非侵襲的な磁気スキャナーを駆使し脳波から入力文章を最大80%の精度で予測する技術をMetaが発表


Metaの基礎人工知能研究ラボ・FAIRは、高度な機械知能(AMI)を実現し、それを活用してすべての人の利益となる製品やイノベーションを推進することに重点を置いています。そんなFAIRが、スペインのバスク認知・脳・言語センターと共同で、AIが人間の知能に対する理解を深め、AMIに近づくのに役立つ2つのブレイクスルーを発表しました。

Using AI to decode language from the brain and advance our understanding of human communication
https://ai.meta.com/blog/brain-ai-research-human-communication/


Meta develops 'hat' for typing text by thinking — uses AI to read brain signals for keypresses | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/artificial-intelligence/meta-develops-hat-for-typing-text-by-thinking-uses-ai-to-read-brain-signals-for-keypresses

Meta’s Brain2Qwerty AI Model Turns Brain Signals Into Text as A Non-Invasive Alternative to Musk's Neuralink - WinBuzzer
https://winbuzzer.com/2025/02/09/metas-brain2qwerty-ai-model-turns-brain-signals-into-text-as-a-non-invasive-alternative-to-musks-neuralink-xcxwbn/

Metaは脳の活動から画像音声の認識を解読するというこれまでの研究をベースに、「非侵襲的な方法で収集した脳波から、文章の生成を解読する」という研究を発表しました。この研究では脳信号のみから文字の最大80%を正確に解読し、完全な文章を再構築することに成功しています。

Metaが発表したもうひとつの研究は、AIが脳信号の理解に役立つ方法を詳しく説明したものです。「脳が思考を効果的に単語のシーケンスに変換する方法」が解説されています。


毎年、何百万人もの人々がコミュニケーションを妨げる可能性のある脳損傷に苦しんでいます。既存のアプローチでは、AIデコーダーにコマンド信号を送る神経補綴(てつ)装置によってコミュニケーションを回復できることが示されています。しかし、定位脳波記録法や皮質電気記録法などの侵襲的な脳記録技術には、神経外科的介入が必要であり、拡張が困難です。一方、非侵襲的アプローチの場合は、記録する信号のノイズの複雑さによって制限されることが一般的でした。

Metaが発表したひとつ目の研究では、神経活動によって引き起こされる磁場と電場を測定する非侵襲性デバイスであるMEGEEGを使用して、35人の健康なボランティアが文章を入力する様子を記録しました。次に、脳信号のみから文章を再構築するために新しいAIモデルをトレーニングしています。

このAIモデルはMEGで記録した「参加者が文字を入力する際の脳波」から、入力文章の最大80%を解読することに成功。これはEEGベースの「脳波ベースの入力文章予測」よりも少なくとも2倍優れているとのことです。


この研究は話す能力を失った人々のコミュニケーション能力を回復させるのに役立つ非侵襲的な脳コンピューターインターフェースの開発に新たな道を切り開く可能性があります。ただし、このアプローチを臨床現場に適用するには、いくつかの重要な課題が残っているそうです。ひとつ目の課題は「デコードのパフォーマンスがまだ不完全である」という点で、もうひとつが「MEGを使用するには被験者が磁気シールドされた部屋でじっとしている必要がある」という点。つまり、実用性の面で難があるというわけです。そして、3つ目の問題が「実際に脳損傷に苦しむ人々にどのような利益をもたらすかを探るにはさらなる研究が必要」という点になります。

「脳が思考を効果的に単語のシーケンスに変換する方法」についての研究では、「口と舌を動かすと神経画像信号が大きく損なわれる」という単純な技術的問題を抱えていました。脳が思考を複雑な一連の運動動作に変換する仕組みを探るため、研究チームは被験者が文章を入力している際に、AIを利用してMEGで検出した信号を解読。毎秒1000枚の脳スナップショットを撮影することで、思考が単語・音節・文字に変換される正確な瞬間を特定することに成功しました。


Metaは「重要なのは、この研究によって、脳が連続する言葉や行動を首尾一貫して同時に表現する方法も明らかになったことです」と記しています。言語の神経コードを解読することはAIと神経科学の大きな課題のひとつです。人間特有の言語能力は、地球上の他のどの動物にも見られない推論・学習・知識の蓄積能力を人間に与えているため、「神経構造と計算原理を理解することは、AMIの開発への重要な道です」とMetaは記しています。

なお、Metaはこれらの研究について「神経科学コミュニティで我々が育んできた緊密な協力関係なしには実現できなかったでしょう」と記しています。加えて、Metaはさらなる研究支援のためにロスチャイルド財団病院に220万ドル(約33億円)を寄付することも発表しました。

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in ソフトウェア,   サイエンス, Posted by logu_ii

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