AIは仕事を減らさず増やすことがテック企業を対象にした調査で明らかに

生成AIが社会に浸透するにつれ、仕事を効率化させるためにAIを使う人が増えてきました。ところが、ハーバード・ビジネス・レビューが調査したところによると、AIは確かに従来の仕事を効率化させたものの、仕事の量自体はむしろ増やしていることが分かったそうです。
AI Doesn’t Reduce Work—It Intensifies It
https://hbr.org/2026/02/ai-doesnt-reduce-work-it-intensifies-it
ハーバード・ビジネス・レビューのアルナ・ランガナタン氏らは、従業員約200名規模のアメリカのテクノロジー企業を対象に、生成AIが業務習慣に与えた影響を8か月間調査しました。その結果、多くの従業員が指示されることなく自発的にAIを活用し、「より多くのことを成し遂げることを可能にし、身近に感じられ、仕事をやりがいのあるものにした」という点からAIを歓迎していたことが分かりました。
ところが、AIは仕事を効率化すると同時に仕事量を増やしていることも判明します。ランガナタン氏らは「AIの導入で業務の形態が大きく変化している」と指摘し、その変化を大きく3つに分けて解説しています。
◆1:タスクの拡張
AIは知識の空白を埋めるため、従業員は従来であれば他人が担っていたタスクを積極的に自分でやるようになりました。例えばプロダクトマネージャーやデザイナーがコードを記述したり、研究者がエンジニアリング業務を引き受けたりといったように、組織全体で外部委託・先送り・回避していた業務に個人が挑戦するようになったのです。
ところが、業務範囲の拡大には連鎖的な影響が生じました。例えばエンジニアは、同僚がAIで作成したコードのレビュー・修正・指導に時間を割くようになり、「雰囲気でコードを書く」同僚の指導、未完成プルリクエストの仕上げなど新しい作業に追われるようになりました。こうした監督業務はSlackのスレッドや口頭での相談といった非公式な場で発生し、エンジニアの負担を増大させました。

◆2:仕事と仕事以外の境界が曖昧に
従業員は、従来は休憩時間だったタイミングに少量の仕事を滑り込ませるようになりました。多くの人がデスクを離れる直前や昼食中、会議中にAIへプロンプトを入力するようになり、自分が離れている間にAIに作業させる人も見られるようになっています。ランガナタン氏らいわく、こうした行動は労働時間の増加には感じられずとも、時間の経過とともに休憩時間が減り、常に仕事へ関与しているような感覚を生み出すそうです。
また、正式な業務というより雑談に近いAIとの会話はさらに仕事と仕事以外の境界を曖昧にし、意図せずとも仕事が夜や早朝に浸食しやすくなりました。従業員の多くは「休憩中にもプロンプトを入力することが習慣化するにつれ、休憩が以前のような回復感をもたらさなくなったことに後になって気づいた」と述べたとのことです。
◆3:マルチタスクの増加
従業員はAIを活用することで複数の作業を同時に進行させるようになりました。手動でコードを書く間にAIへ代替バージョンを生成させたり、複数のAIエージェントを並行して実行したり、あるいはAIに簡単な仕事をさせて自分は長年先送りしていたタスクを再開したりといった具合です。こうした行動の背景には、作業負荷を分担する「パートナー」を得たと感じたことがありました。
この「パートナー」の存在感は、意識の絶え間ない切り替えや、AIが出力した結果の頻繁な確認、未完了タスクの増加につながり、認知負荷が生じ、生産性を感じつつも常に複数の課題を同時に処理している感覚に陥らせるようになったそうです。

こうした3つの変化は、組織にとっては良い変化だと考えられるかもしれません。従業員が自ら進んで業務拡大に取り組むのであれば、悪いことは何もないように思えます。しかし、ランガナタン氏は業務が拡大・加速するのにはリスクがあるとも指摘しています。
従業員は自発的に始めた業務もAIの力で難なくこなせるため、しばしば「楽しい」と感じます。ただ、これは管理職にとって従業員がどれほどの負担を背負っているかを見落とすことにつながり、長期的に見て過重労働を引き起こす可能性があります。
AIは導入当初こそ魔法のような活躍を見せますが、最初の興奮が冷めると従業員は業務量が静かに増加していることに気づき、突然押し寄せた業務をすべてこなそうとすることで負担を感じ始めます。この業務量の増加は認知的疲労や燃え尽き症候群、意思決定能力の低下を招き、生産性が向上する一方で離職率の上昇といったその他の問題が発生する可能性があるそうです。
ランガナタン氏らは、AIが業務を拡大するのを黙って受け入れるのではなく、AIの使用方法、停止すべきタイミング、新たな能力獲得に伴う業務拡大の可否をきちんと見極め、どこからどこまで取り入れるのかを正確に定義することで、持続可能な生産性を維持できると説明しました。
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in AI, Posted by log1p_kr
You can read the machine translated English article AI will create more jobs, not less, says….







