人間の脳にはAIっぽいメカニズムの言語ネットワークがあるという主張

ChatGPTやGeminiなどのAIは人間っぽい自然な会話ができたり複雑なタスクをこなせたりして「人間っぽい思考をしているのでは?」と感じるほどになっていますが、AIの思考メカニズムついては「人間の脳のメカニズムはまったく異なっている」という考え方が一般的です。一方で、マサチューセッツ工科大学で脳の仕組みについて研究しているエヴェリナ・フェドロンコ氏は「人間の脳には大規模言語モデル(LLM)に似た言語ネットワークがある」とする研究成果を報告しており、人間の脳にAIと類似する部分があると指摘しています。
The Polyglot Neuroscientist Resolving How the Brain Parses Language | Quanta Magazine
https://www.quantamagazine.org/the-polyglot-neuroscientist-resolving-how-the-brain-parses-language-20251205/
脳科学の分野では「脳の言語処理と非言語処理は共通のメカニズムで働いており、言語処理は複雑な思考や推論の前提条件となっている」という考え方が一般的だったとのこと。しかし、フェドロンコ氏の研究では「人間の脳には言語処理を担当する選択的な領域が存在する」ということや「言語処理は他の思考とは異なるメカニズムで働いている」ということが示されています。
フェドロンコ氏は脳の言語処理領域を「言語ネットワーク」と呼んでいます。約1400人の脳をMRIでスキャンした結果、ほとんどの人の前頭皮質の3箇所の領域に言語ネットワークがあることが確認されたとのこと。また、中側頭回にもいくつかの言語ネットワーク領域が存在しています。
また、言語能力を失った被験者を対象にした研究では、被験者が言語を操れないにもかかわらず「足し算や引き算や論理問題を解く」「他人の考えていることを推測する」「音楽を鑑賞する」といったことが確認されているほか、健康な成人で言語処理時と非言語処理時で脳の活性化する分野が異なることも観察されました。フェドロンコ氏はこれらの研究成果を元に「言語処理と非言語処理では異なる脳領域を使っており、思考は言語に依存しない」と結論付けています。
さらに、言語ネットワークでは「言語の規則性」や「単語同士の関係性」を学習することで言語を操っているとのこと。これは言語の規則性を学習して文章を出力している大規模言語モデルによく似たメカニズムです。
フェドロンコ氏の研究成果は以下のページにまとまっています。
Research — EvLab
https://www.evlab.mit.edu/research

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in サイエンス, Posted by log1o_hf
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