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半導体業界は前例のない「ギガサイクル」に突入、AIの大規模な発展によりコンピューティング・メモリ・ネットワーク・ストレージの経済性が同時に高まる


テクノロジーに関連した市場調査や分析を行うCreative Strategiesが2025年12月に半導体業界の成長や今後の予測についてのレポートを公開しました。レポートでは、AIインフラの急速な拡大により半導体業界が前例のない「ギガサイクル」に突入しており、産業全体の需要・収益構造が大規模な再編を求められていることが指摘されています。

The Semiconductor Gigacycle - Creative Strategies
https://creativestrategies.com/research/the-semiconductor-giga-cycle/


Semiconductor industry enters unprecedented ‘giga cycle’, says report — scale of artificial intelligence is rewriting compute, memory, networking, and storage economics all at once | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/semiconductors/semiconductor-industry-enters-giga-cycle-as-ai-infrastructure-spending-reshapes-demand

市場調査に基づく世界の半導体売上高は、2024年の約6500億ドル(約101兆円)から、2025年は約7170億ドル(約111兆円)まで成長しています。10年後には1兆ドル(約156兆円)を超えると予想されているほか、「1兆ドルの大台に乗るのは2028年から2029年」と前倒しする見方もあります。


Creative Strategiesによると、半導体市場の拡大は、単一の製品カテゴリーや地域的市場の影響で起きているものではなく、半導体技術のあらゆるカテゴリーに同時に影響を及ぼすインフラ要件によって推進されている「業界の根本的な再構築」だそうです。Creative Strategiesは「半導体業界は、今後全く同じ姿にはならないでしょう。この分野の形は永遠に変わってしまったのです」と述べています。

半導体業界は、例えばPC時代には主にマイクロプロセッサと汎用(はんよう)メモリに恩恵をもたらし、スマートフォンの登場によりモバイルアプリケーションプロセッサとNANDストレージに利益が集中するなど、テクノロジー業界の流行に対応して変化してきました。しかし、AIインフラストラクチャの構築はそれらとは異なり、トレーニングと推論のワークロードのアーキテクチャ要件に関連して、コンピューティング・メモリ・ネットワーク・ストレージ全体で同時に問題が発生します。どれか1つではなく全ての分野で同時に拡張が必要となり、半導体業界の需要と収益が急激に変化している状態をCreative Strategiesは「ギガサイクル」と呼んでいます。


AIインフラストラクチャの構築において最大の市場規模を持つのはGPUです。NVIDIAのGPU出荷台数は2025年に約85%増加し、2026年にはさらに50~60%増加すると予測されています。また、AIサーバーはそれ自体が1兆ドル規模のカテゴリーになりつつあり、2024年の約1400億ドル(約21兆円)から2030年には約8500億ドル(約133兆円)まで成長すると予想されています。

AMDの最高経営責任者であるリサ・スー氏は需要を「飽くなきもの」と語り、AMDはAIデータセンター向けチップの売上高が年間80%、総売上高が2030年まで年間35%成長すると予測しています。また、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは2026年第2四半期決算説明会で「今後5年間で、AIインフラのビジネスチャンスは3兆ドル(約440兆円)から4兆ドル(約620兆円)規模に拡大するでしょう。私たちはまだ、この構築のごく初期段階にあります」と市場の成長ぶりを語りました。

また、巨大IT企業による投資戦略の変化を背景に、特定用途向けに設計されたカスタム半導体(ASIC)の市場が急速に拡大しています。GoogleやAmazonのような巨大IT企業は、自社のAIやクラウドといった主要ワークロードに最適化されたチップを自ら設計・制御することで、サードパーティ製GPUに依存するよりもコストと電力効率の改善を図ろうとしており、その動きが汎用GPUの優位性に挑戦する水準に迫りつつあります。例えばOpenAIは半導体企業のBroadcomと協力し、10GW(ギガワット)級のカスタムAIチップを開発、導入する計画を2025年10月に発表しました。

OpenAIがAI処理チップを独自開発するべくBroadcomと戦略的パートナーシップを締結、10ギガワット級のチップを生産予定で契約金は数千億円 - GIGAZINE


そのほか、大規模メモリでは高帯域がボトルネックになるため必須である「高帯域メモリ(HBM)」の需要の急増や、低消費電力で高性能を出すための先端半導体プロセスへの依存なども、数年にわたる大型の設備投資と幅広い製品群への需給ひっ迫を起こしています。

半導体ギガサイクルの特徴として、メモリ・ネットワーク・ストレージ・パッケージングへと同時に需要と投資が波及しており、大きなビジネスチャンスが生まれています。Creative Strategiesは「史上最大の半導体市場の拡大から誰もが恩恵を受けています」と語りました。

一方で、需要の見積もりを誤ると供給過剰や価値の下落を招くというリスクが考えられます。また、多すぎる需要に生産能力や特殊材料の不足が追いつかず、大きなボトルネックとなる可能性があります。ギガサイクルはバブル的な好況ではなく、AIがもたらした根本的かつ長期的な構造変化であるとCreative Strategiesは指摘しており、今後どのように技術的なボトルネックが解消されるかが注目されています。

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in AI,   ハードウェア, Posted by log1e_dh

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