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AI時代のコンテンツ利用ルールを定める業界標準「RSL 1.0」が正式仕様として公開される


AI企業によるウェブ上のコンテンツ利用をめぐり、パブリッシャー側が用途ごとの利用条件を明確に提示できる仕組みとして注目されてきたReally Simple Licensing(RSL)1.0が、正式な標準仕様として公開されました。すでにCloudflareやAkamaiなどインターネットインフラ企業や多くのメディア企業がRSLの実装を支持する姿勢を示しています。

New RSL Web Standard and Collective Rights Organization Automate Content Licensing for the AI-First Internet and enable Fair Compensation for Millions of Publishers and Creators | RSL: Really Simple Licensing
https://rslstandard.org/press/rsl-1-specification-2025

RSL 1.0 has arrived, allowing publishers to ask AI companies pay to scrape content | The Verge
https://www.theverge.com/news/841222/rsl-licensing-ai-spec-launch

RSL自体は2025年9月に公開され、バージョン1.0の標準仕様が2025年11月に策定されました。

AI学習目的のスクレイピングに対して利用条件や利用料金を通知する仕組み「RSL」が開発中、すでにYahoo・Reddit・オライリーなどが採用を表明 - GIGAZINE


今回、新たにこのRSL 1.0の仕様が正式な業界標準として発効し、主要インターネットインフラ企業や大手パブリッシャーが本格的に採用を表明したことが発表されました。これにより、RSLは単なる提案仕様ではなく、CloudflareやAkamaiといった基盤サービスが実装を進める“運用可能な仕組み”として位置づけられ、AI検索と従来検索を用途別に制御できる実務的な枠組みが整います。

RSLは既存のrobots.txtを拡張し、アクセスの可否だけでなく、AIモデルの訓練や検索、生成回答など用途ごとの利用条件を指定できる点が特徴です。RSL 1.0では「ai-all」「ai-input」「ai-index」などの項目が追加され、検索エンジンにはインデックス化を許可しつつ、AI検索機能への利用のみを拒否するといった細かい設定が可能になります。これにより、パブリッシャーは従来の検索トラフィックを維持しながら、AI用途だけを選択的に制御できるようになると説明されています。

また、RSL 1.0ではCreative Commonsとの協業により、非営利の知識共有コミュニティを保護する目的で「コントリビューション」オプションが導入されました。これは、AI企業に対して商用ライセンスとは異なる形で金銭的またはインフラ面での寄与を求める仕組みで、クリエイターは自身の作品がAIシステムに利用される際に、アクセスの遮断やオープンな連携を損なうことなく、正当な対価や支援を求めることができるようになります。


RSLの普及にはインターネットインフラ企業のサポートが大きく関与しています。AIのトレーニングや推論に使用されるコンテンツはウェブスクレイピング用のボットで収集されていますが、こうしたボットはウェブサイトのrobot.txtを無視して巡回を行っているケースが問題視されてきました。たとえば、インターネットインフラ企業であるCloudflareは、こうしたAIボットを厳しく取り締まる姿勢を示しています。

Cloudflareが学習用データを収集するAIボットを一括でブロックする機能をリリース - GIGAZINE


Cloudflareは、「RSL 1.0はHTTP 402レスポンスにライセンス情報を組み込めるようになる点が有益だ」と述べています。また、同じくインターネットインフラ企業のAkamaiも、パブリッシャーの利用条件の明確化を支援する姿勢を示し、RSLの支持を表明しました。インターネットインフラ企業がサポートすることで、ライセンスを持たないAIスクレイパーをブロックするなどの施策を採ることが可能になります。


さらに、ほかにもAP、Guardian、USA Today、BuzzFeed、Slate、Stack Overflowなど、1500を超える媒体・企業がRSLへの賛同を表明。RSL Collectiveはインターネットインフラ企業や主要メディアがRSLを標準として受け入れたことで、RSLは正式な業界標準(official specification)として承認・公開されることになると宣言しました。

RSL Collectiveは今後も仕様拡張と普及を進める方針であると述べ、RSLはAI企業とパブリッシャー、クリエイターの間に透明性と責任を伴う利用環境を整える仕組みになると期待を寄せています。

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in AI,   ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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