AI相手でもジェンダーバイアスがあることが判明、AIは搾取されがちで女性AIでは特に顕著

2人のプレイヤーが協力すれば利益を最大化できる一方、それぞれが個人の利益を追求すると利益が最小になってしまうゲーム「囚人のジレンマ」を用いた調査で、人間はパートナーが女性AIのとき、男性AIを相手にしたときよりも「搾取」しようとする傾向があることがわかりました。これは、人間が対人間だけでなく対AIでもジェンダーバイアスを持ち込むことを示しています。
AI’s assigned gender affects human-AI cooperation: iScience
https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042%2825%2902166-2
Humans bring gender bias to their interactions with AI – new study - News & EventsHumans bring gender bias to their interactions with AI – new study - News & Events | Trinity College Dublin
https://www.tcd.ie/news_events/articles/2025/humans-bring-gender-bias-to-their-interactions-with-ai--new-study/
When an AI algorithm is labeled 'female,' people are more likely to exploit it | Live Science
https://www.livescience.com/technology/artificial-intelligence/when-an-ai-algorithm-is-labeled-female-people-are-more-likely-to-exploit-it
「囚人のジレンマ」は、2人の囚人に対して「黙秘」か「自白(裏切り)」かを選ばせるものです。2人とも「黙秘」を選んだ場合はともに懲役2年ですが、片方が「黙秘」したのにもう1人が「自白」した場合、自白した方は無罪放免なのに対して黙秘した方は2人分の罪をかぶって懲役10年となります。そして2人とも「自白」を選ぶと懲役5年です。
2人合わせても懲役4年の「2人とも黙秘(相互協力)」が全体としては利益が大きいのですが、2人とも「自分の利益を最大化したい」と考えた場合、「2人とも自白(相互離脱)」して全体の利益は最小になってしまいます。なお、「相手が黙秘を選ぶことを期待して自分は自白する」という利己的な選択を、研究チームは「搾取」と定義。また、「相手が自白することを期待して黙秘する」という選択は「無条件協力または非合理的」と定義されています。
ダブリン大学トリニティカレッジとミュンヘン大学の合同チームは、402人の被験者に「囚人のジレンマ」をプレイしてもらいました。パートナーが何者なのかは明かされず、「人間」か「AI」かを示すタグと、性別を示す「男性」「女性」「ノンバイナリー」「中性(ノンジェンダー)」の4つのタグのいずれかのみが情報として与えられました。
これまでも「囚人のジレンマ」を用いた研究は行われていますが、相手の性別に着目した研究は数が少なく、その数少ない研究で男女共に相手が女性のときの協力度が高く(「黙秘」を選ぶ傾向がある)、また、女性プレイヤーは男性よりも協力度が高いことが示されています。このため、研究チームは「AIの性別が、人々の協力意欲に与える影響は検討を要する多面的な課題」だと考えたとのこと。
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