人間がケガや病気から回復しにくくなる「虚弱」な状態に達する年齢が明らかに

人間の体は老化とともに衰え、若い頃であればすぐに回復するようなケガや病気もなかなか治らず、症状や痛みを引きずるようになります。カナダのダルハウジー大学の研究チームが、「人間が虚弱になる年齢」について調べた論文を、査読前論文を公開するプレプリントサーバーのarXivで発表しました。
[2412.07795] Dynamical modelling of the frailty index indicates that health reaches a tipping point near age 75
https://arxiv.org/abs/2412.07795

Study Reveals The Age You Hit The 'Tipping Point' Into Frailty : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/study-reveals-the-age-you-hit-the-tipping-point-into-frailty
人間の老化は年齢に比例して直線的に進むものではなく、特定の「転換点」で急激に進むことが、近年の研究で明らかになっています。たとえば、体内のRNAやタンパク質、代謝物、細菌といったバイオマーカーを調べた研究では、分子や微生物の大きな変動は44歳ごろと60歳ごろに起こることが示されました。
人間の老化は「44歳頃」と「60歳頃」の2回に分けて劇的に進むと判明 - GIGAZINE

また、2025年に中国の研究チームが発表した研究結果によると、人間の組織や臓器の老化スピードは「50歳前後」で大きく転換し、それ以降は急速に老化が進むことが明らかになっています。
人間が晩年にさしかかると、健康上の問題は頻度と重症度の両面で深刻化します。健康状態の悪化に対する脆弱(ぜいじゃく)性と感受性が増加し、身体機能の障害に陥りやすい状態のことは、臨床的に「Frailty(フレイル)」と呼ばれます。医師は患者の健康問題の数に基づいて算出される「Frailty Index(フレイル指数)」というツールを用いて、その患者の健康状態の変化を予測することが多いそうです。
今回、ダルハウジー大学の研究チームはフレイル指数を用いて、人間の老化に関する新しい数学的モデルを構築しました。研究ではアメリカのミシガン大学が行ったHealth and Retirement Study(健康と退職についての研究)と、イギリスで行われたEnglish Longitudinal Study of Ageing(イギリスの高齢化に関する長期的研究)のデータが用いられました。
まずはこれらの調査から、医療施設を合計6万5261回訪れた、年齢の中央値が67歳である中高年1万2920人のデータを収集しました。そして、慢性疾患やタスク遂行の困難さ、活動量、心血管疾患など30以上の属性からなるフレイル指数を使用して、各被験者の健康状態を定量化しました。

研究チームはフレイル指数を利用し、「疾病やケガといった有害な健康事象への抵抗力」と「健康事象からの回復に要する時間」という2つの健康領域について、経時的な変化を分析するための数学的モデルを構築。被験者のフレイルが急上昇する転換点がどこにあるのかを探りました。
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