教育

「4年制大学の学位はもはや学費に見合う価値がない」とアメリカ人の多くが考えている


アメリカの大手メディア・NBCの世論調査で、アメリカ人の3分の2は「4年制大学の学位は費用に見合うだけの価値がない」と考えていることが明らかになりました。

Poll: In a dramatic shift, Americans no longer see four-year college degrees as worth the cost
https://www.nbcnews.com/politics/politics-news/poll-dramatic-shift-americans-no-longer-see-four-year-college-degrees-rcna243672


調査は登録有権者1000名を対象に行われたもので、性別は男性が48%、女性が52%。年齢層は18歳から75歳以上まで、ほぼ偏りなく含まれています。

大学の学位を巡る価値観は変化してきており、2013年6月実施の調査では「学位には、費用に見合う価値がある」と回答した人が53%いましたが、2017年8月の調査では49%と半数を切り、2025年10月の調査ではついに33%にまで減少しました。反対に「費用に見合う価値がない」という回答が63%と、多数派になっています。


「価値がある」という回答は、良い職に就いて生涯収入が増えるため費用に見合うという見方で、一方、「価値がない」という回答は、卒業時に具体的な職業スキルがなく多額の借金を抱えるため費用に見合わないという見方です。

この変化について、調査を行ったHart Research Associatesのジェフ・ホーウィット氏は、「アメリカン・ドリーム」の中核である学位に対するアメリカ人の姿勢が劇的に変化したと表現。その上で「本当に驚くべきことは、大学を卒業していない人だけがそのように考えているのではなく、誰もが考えを変えたという点です」と述べています。


労働統計局の全国データから、高等学位の取得者が低学歴層より高収入で失業率も低いことは示されており、長年変わりがありません。

しかし、学費は大きく変化しているとのこと。この10年だけを切り取ると授業料は「わずかに下がった」そうですが、インフレ調整をかけると、公立の4年制大学の授業料は1995年以降、2倍に跳ね上がっているとのこと。私立の4年制大学の授業料も同期間で75%上昇しています。調査でも、学位価値低下の理由を学費高騰に結び付ける事例がほとんどだったとのこと。

右派系シンクタンクであるAmerican Enterprise Instituteのプレストン・クーパー氏は、「大学の学位は常に報われる」という長年の通説のもとで、深刻なほどに亀裂が拡大していると述べています。

なお、学位に対する費用対効果だけでなく、「高等教育」への信頼感も過去10年で低下しているとのことで、ホーウィット氏は「大学はいまや、多くのアメリカ人にとって手の届かない存在であり、アクセスできないものと見なされています」と危機感を示しました。

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in 教育, Posted by logc_nt

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