欧州宇宙機関の地球観測衛星「Sentinel-1D」がレーダーで撮影した地球の高解像度画像が公開される

欧州宇宙機関(ESA)が現地時間の2025年11月4日に打ち上げた地球観測衛星の「Sentinel-1D」が、南極大陸の端からグリーンランドに至る高解像度画像を初めて地球に送信しました。Sentinel-1Dが撮影した高解像度画像は、ESAを通じて公開されています。
ESA - Sentinel-1D delivers first images: from Antarctica to Bremen
https://www.esa.int/Applications/Observing_the_Earth/Copernicus/Sentinel-1/Sentinel-1D_delivers_first_images_from_Antarctica_to_Bremen
ESAはEU加盟国や欧州気象衛星開発機構などと共同で、EU主導の地球観測プログラム「コペルニクス計画」に取り組んでいます。そんなコペルニクス計画の一環として2025年11月4日に打ち上げられたのが、レーダーを使って太陽光にかかわらず陸地や氷、海の高解像度画像を撮影できる人工衛星のSentinel-1Dです。
YouTubeではSentinel-1Dの打ち上げまでの様子をまとめた動画が公開されています。
Copernicus Sentinel-1D journey to space - YouTube

船で輸送されるSentinel-1D。

Sentinel-1DはEUが運営する打ち上げ用ロケット・アリアン6によって打ち上げられます。

これがSentinel-1D本体です。

アリアン6の先端部に、Sentinel-1Dが格納されました。

発射台にセットされたアリアン6。

カウントダウンが行われ、勢いよく発射。

宇宙空間に打ち上げられたアリアン6は、無事にSentinel-1Dを展開することができました。

周回軌道に乗ったSentinel-1Dは11月6日、南極のスウェイツ氷河上空で最初の撮影を行い、翌日の朝にはドイツのブレーメン上空でも撮影を行いました。これらの画像を撮影し、イタリアの地上局に送信するまで、打ち上げからわずか50時間以内の出来事だったとのこと。
そして11月26日、Sentinel-1Dが撮影した最初の高解像度画像がESAを通じて公開されました。以下は南極海に向かって突き出ている南極半島の画像です。

南アメリカ大陸南端沖に位置するティエラ・デル・フエゴ諸島の画像はこんな感じ。画像の鮮やかなコントラストは、複数の種類のレーダー波を用いることで生み出されているとのこと。

Sentinel-1Dが撮影したスウェイツ氷河とパインアイランド氷河の画像が以下。ESA地球観測プログラムのディレクターを務めるシモネッタ・チェリ氏は、「Sentinel-1Dによるこれらの成果を大変うれしく思います」「これらは気候変動に関する議論と行動を続ける社会全体が頼りにするデータであり、地球の理解と研究に応用するために必要なデータでもあります」と述べました。

Sentinel-1Dが撮影した地球の高解像度画像は、将来的に以下のウェブサイトで確認できるようになる予定です。
Copernicus Browser
https://browser.dataspace.copernicus.eu/
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