毎日オレンジジュースを飲むと心臓の健康に好影響をもたらす

大人から子どもまで幅広く親しまれる「オレンジジュース」は、のどの渇きを潤すだけでなく、さまざまな健康効果を人体に与えていることが明らかになっています。
Your daily orange juice could be helping your heart
https://theconversation.com/your-daily-orange-juice-could-be-helping-your-heart-270492

最新の研究により、オレンジジュースを定期的に摂取すると、免疫細胞内の数千もの遺伝子の活動に影響を与えることが示されました。これらの遺伝子の多くは血圧のコントロール、炎症の鎮静、糖の代謝管理に役立ち、いずれも長期的な心臓の健康に重要な役割を果たすことが明らかになっています。
この研究では、被験者に2カ月間毎日500mlの低温殺菌オレンジジュースを飲んでもらいました。オレンジジュースを飲み始めてから60日後、炎症や高血圧に関連する多くの遺伝子の活性が低下していることが確認されています。
活性が低下した遺伝子にはNAMPTやIL-6、IL-1β、NLRP3などがあります。これらは通常、身体がストレス下にある時に活性化するものです。腎臓のナトリウム(塩分)保持能力に影響を与えるSGKIという別の遺伝子も、活性が低下しました。
これらの変化は「オレンジジュースを毎日飲むと若い成人の血圧が下がる」という過去の研究結果と一致していると、ウェストミンスター大学で化学病理学の上級講師を務めるデビッド・C・ゲイズ氏は指摘しました。

今回の研究結果は、オレンジジュースが単に血糖値を上げるだけのものではなく、炎症を抑え、血管を弛緩させる体内の調整システムに小さな変化をもたらすことが示されました。この研究結果について、ゲイズ氏は「オレンジジュースが複数の研究で心臓の健康状態の改善と関連付けられている理由を説明できる可能性がある」と語っています。
オレンジに含まれる天然化合物、特に抗酸化作用と抗炎症作用で知られるヘスペリジンは、高血圧、コレステロールバランス、身体が糖を処理する方法に関するプロセスに影響をおよぼすようです。
また、体重の重たい人は脂肪代謝に関わる遺伝子に大きな変化がみられる傾向にあり、痩せた人は炎症に対する影響がより強いことが確認されています。
過去の研究をベースに、639人の被験者を対象とした対照試験も実施されており、オレンジジュースを定期的に摂取するとインスリン抵抗性と血中コレステロール値が低下することも判明しています。インスリン抵抗性は糖尿病前症の重要な特徴であり、高コレステロールは心臓病の危険因子です。
過体重および肥満の成人を対象とした別の分析では、オレンジジュースを毎日摂取することを数週間続けると、収縮期血圧がわずかに低下し、善玉コレステロールと呼ばれる高密度リポタンパク質が上昇することが判明しています。これらの変化は軽微ですが、「血圧とコレステロールのわずかな改善でも、長年にわたって維持すれば大きな違いをもたらす可能性がある」とゲイズ氏は指摘しています。

さらに、体が食物を消化する際に生成される微小分子である代謝物を調べた研究から、オレンジジュースがエネルギー利用、細胞間のコミュニケーション、炎症に関連する経路に影響を及ぼすことも明らかになりました。さらに、心臓の健康に重要な役割を果たすと認識されている腸内細菌叢(そう)にも好影響を与える可能性が示唆されています。
ブラッドオレンジジュースを1カ月継続して飲んだところ、短鎖脂肪酸を産生する腸内細菌の数が増加することも示されました。また、被験者には血糖コントロールの改善と炎症マーカー値の低下も見られたそうです。
他にも、メタボリックシンドロームの人は、特にオレンジジュースによる恩恵を受ける可能性があります。肥満の被験者68名を対象にオレンジジュースを毎日飲んでもらった研究では、血管の内壁機能(内皮機能)の改善が示されています。内皮機能は、血管がどれだけ弛緩・拡張するかを示すもので、機能向上は心臓発作のリスク低下と関連しています。
ただし、すべての研究が同じ結果を報告しているわけではありません。血中脂肪濃度に関するより広範な分析では、オレンジジュースを飲むと悪玉コレステロールと呼ばれる低密度リポタンパク質の値が低下することが多いものの、トリグリセリドや高密度リポタンパク質などの他の脂質測定値はあまり変化しないことが示されています。

ブラジルのオレンジジュース工場で働く労働者129人を対象とした研究では、心臓発作のリスクに関連するコレステロールを運ぶ粒子の数を反映するマーカーであるアポリポタンパク質Bの血中濃度が低下したことが報告されています。
ジュースよりも生の果肉の方が食物繊維が豊富なため、オレンジを丸ごと食べる方がオレンジジュースを飲むよりも良い選択肢であることは変わりません。しかし、毎日適度な量のオレンジジュースを飲むと、時間の経過とともに炎症の緩和、血流の改善、そして長期的な心臓の健康に関連するいくつかの血液マーカーの改善などが見込まれます。
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in サイエンス, 食, Posted by logu_ii
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