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海賊版にCloudflareが責任を負う判決についてCloudflareは猛反発


日本のマンガ出版社グループが「海賊版マンガサイトをホスティングしていた」としてCloudflareを告発した裁判について、東京地方裁判所は2025年11月に「違法サイトの大規模配信を助長した」として総額5億円の損害賠償をCloudflareに命じました。これに対しCloudflareは反論を述べており、コンテンツ配信ネットワーク事業者の責任に関する問題が注目されています。

Cloudflare Says Piracy Liability Ruling Has Global Implications; Publishers Disagree * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/cloudflare-says-piracy-liability-ruling-sets-a-dangerous-precedent-the-publishers-disagree-251123/


Tokyo Court Finds Cloudflare Liable For Manga Piracy in Long-Running Lawsuit * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/tokyo-court-finds-cloudflare-liable-for-manga-piracy-in-long-running-lawsuit-liable-for-piracy-following-manga-publishers-lawsuit-251119/

集英社、講談社、KADOKAWA、小学館の大手出版社グループは、複数のマンガ海賊版サイトを配信し続けるCloudflareの責任を追及するため、2018年に東京地方裁判所に訴訟を提起しました。この裁判は2019年、「裁判所が海賊版サイトを違法であると判断した場合、Cloudflareは日本国内への配信を停止する」という内容の合意により和解が成立しました。


そして2022年1月、同じ出版社グループはCloudflareに対し「著作権侵害行為の停止を要請し、Cloudflareは必要な措置を講じたと回答したにもかかわらず、海賊版サイトが依然としてCloudflareのサービスとキャッシュを使用している」と指摘し、再びCloudflareを訴えました。原告側の主張によると、2つの大手海賊版サイトで掲載されていた海賊版マンガ作品は4000以上で、最盛期には両方合わせて月間約3億アクセスがあったとのこと。

裁判の結果、Cloudflareが海賊版サイトのサービス停止命令や情報開示命令を受けた上で配信を停止する義務を怠ったとして、著作権侵害のほう助が認められ、総額5億円の損害賠償命令が下されました。過去にも、Cloudflareに海賊版サイトへアクセスできなくするよう対応する裁判所命令が下されたケースはありますが、ホスティングサービスと同等の責任を課したのは今回が初のケースです。


判決を受けてCloudflareは「当社はあくまでコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)であり、データを転送していますが、コンテンツのホスティングや管理を行っているわけではありません」と異議を申し立てる声明を発表しました。Cloudflareは「今回の判決は単なる局地的な事件ではなく、仲介業者に責任を求めたという点で、広範囲にわたる影響を及ぼす世界的な前例となります。CloudflareのようなCDNが、ホストしていないコンテンツに対して法的責任を負わされることは、世界のインターネットの成長を支えてきた責任制限の枠組みを覆すことになります。この判決は世界初の事例であり、世界中のインターネットの効率性、セキュリティ、信頼性に深刻な影響を及ぼす可能性があります」と述べています。

加えて、Cloudflareは今回の判決を「透明性、公正さ、適正手続きを損なうものであり、技術インフラの健全性とイノベーションの成長を阻害するもの」と強く批判しています。報道によるとCloudflareは控訴を表明しており、海賊版とCDNを巡る今後の判断が注目されています。

一方で、出版社グループ側の弁護士は「今回の判決は、高度な匿名性を提供し、侵害通知を無視したことに対する責任に関するものであり、サービスの提供自体や他のCDNサービスプロバイダーに関するものではありません」とCloudflareの主張を否定しました。今回の判決を受けて、出版社側は「海賊版サイトをホストしているわけではなくCDNを提供しているだけという抜け穴を防ぐ第一歩」と成果を報告しています。

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in ネットサービス, Posted by log1e_dh

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