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オープンソース電子機器プラットフォームのArduinoがこっそりと利用規約やプライバシーポリシーを書き換えて死につつあるという指摘


イタリアのオープンソース電子機器プラットフォーム「Arduino」は、電子工作やプログラミングを始められるマイクロコントローラ(マイコン)基板を展開しており、初心者から上級者まで多くのコミュティで活用されています。そんなArduinoは2025年10月にアメリカの半導体企業であるQualcommに買収されていますが、それ以降ひっそりと利用規約プライバシーポリシーの書き換えを進めており、「プラットフォームを構築したオープンハードウェアの精神から明確に決別しつつある」と指摘されています。

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Qualcommは2025年10月7日に、Arduinoを買収したことを明らかにしました。買収により、Qualcommが持つエッジ技術やAI、グラフィックス、コンピュータービジョンといった武器と、Arduinoの持つシンプルさ、手ごろな価格、コミュニティが組み合わさって、業界全体で開発者の生産性強化につながるとQualcommは説明しています。リリースでは、Arduinoは今後もブランド、ツール、使命の独立性を維持したまま、複数メーカーのチップを搭載したマイクロコントローラーやマイクロプロセッサを手がけていくことが発表されました。

Qualcommがオープンソースプラットフォームを手がけるArduinoを買収 - GIGAZINE


しかし、電気機器・電子機器製造業を営むAdafruit IndustriesはLinkedInの投稿で、「Qualcommが所有するArduinoは、利用規約とプライバシーポリシーの大幅な書き換えをひっそりと進めている」と、Qualcommの買収によってプラットフォームが変わりつつあることを指摘しています。

Adafruit Industriesによると、新しい利用規約とプライバシーポリシーには、以下のような変更点が含まれているとのこと。

・ユーザーがアップロードするすべてのものに対し取消不能の永久ライセンスが発生する
・AI機能の広範な監視スタイルのモニタリング
・ユーザーが潜在的な特許侵害を特定できないようにする条項
・アカウントを削除した後もユーザー名を何年も保持する
・すべてのユーザー データ(未成年者を含む)をQualcommのグローバルデータエコシステムに統合する

これらの変更により、Arduinoはオープンコミュニティプラットフォームから、「詳細なデータ抽出が組み込まれた、厳密に管理された企業サービス」へと事実上作り変えられているとAdafruit Industriesは指摘し、「最も印象的な変化として、Arduinoが許可しない限り、ユーザーはリバースエンジニアリングを行うことや、プラットフォームの仕組みを理解しようとすることさえも明示的に禁止されるようになりました」と述べています。

Adafruit Industriesの取締役社長であるフィリップ・トローネ氏は、「新しいプライバシーポリシーと利用規約は、まるでブートローダーをスパイウェアと入れ替えたみたいな内容です」と強く批判しています。


Adafruit Industriesの投稿には、「Arduinoさん、あなたと知り合えて本当に良かったです。安らかに眠ってください」「これは学術的なロボット研究に大きな打撃を与えるだろう」とArduinoの終了を嘆く声のほか、「新しいオープンソース企業にとってチャンスが開かれたようです」と次のプラットフォームを求めるコメントが寄せられています。


また、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも話題になっており、Qualcommの買収をきっかけにプラットフォームが大きく変化することを嘆くが挙がっています。一方で、Arduinoに大きな変更点があったのはクラウドサービスのみであり、オープンソースハードウェアプロジェクトには影響しないため、Adafruit Industriesの指摘は間違っていると指摘する意見もあります。

実際に、利用規約プライバシーポリシーを確認すると、「ユーザーが公開するコンテンツに対し、ユーザーのいかなる所有権も損なうことなく、ユーザーはArduinoに対し、知的財産権の存続期間中はプラットフォーム上で公開または更新されるコンテンツを使用する権利を付与する」とあります。また、ユーザーはいつでもコンテンツを削除できますが、「コンテンツはライセンスに従って他のユーザーに使用されることがあり、即時削除により管轄当局の要請に応じる能力がArduinoに制限される可能性がある場合、削除してもプラットフォーム内の他の場所に引き続き残る場合があります」と記載されています。つまり、Adafruit Industriesの主張は一部正しいですが、一部過剰な解釈が含まれている可能性があります。

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