コミュニケーション弱者が社交的な人間になるまでに経験した「6つの気付き」とは?

フリーランスライターのサーシャ・チェーピン氏は、今でこそ「人と接して気まずくなるところが想像できない」と言われるほど社交的な人間ですが、かつては人と接するのが大の苦手だったとのこと。そんなチェーピン氏が、正常な社交性を獲得する上で重要だったと振り返る「6つの気付き」について解説しています。
My six stages of learning to be a socially normal person
https://sashachapin.substack.com/p/my-six-stages-of-learning-to-be-a

◆1:魅力的な人間になる
子どもの頃のチェーピン氏は人をいらいらさせる性格で、ぶっきらぼうで、興奮しやすく、さらに繊細だったために学校でひどいいじめを受けていたとのこと。成長しても状況は変わりませんでしたが、ラジオ番組のThis American Lifeにハマって聴いているうちに、番組に出てくる大人たちはウィットに富んで洗練されており、自信を持ちながらも自虐的で、自分とはまったく違う人間だということに気付いたそうです。
チェーピン氏はThe American Lifeのホストに憧れていたため、「話を聞いていて面白い人間になろう」と決意して、大学時代を通してこの姿勢を貫きました。具体的には、人々の注目を集めるためにウクレレを弾いたり、詩を暗唱したり、自分の人生についてドラマチックに語ったり、学問的なテーマについて意見を展開したりしました。
これにより、チェーピン氏は多少なりとも人から認められるようになりましたが、その評価は「学問的な知性を評価する」という意見と「疲れるやつだ」という意見で賛否両論だったそうです。また、これらは自分の博識を誇示するだけで、依然として人と本当に親しくなることはできませんでした。

◆2:相手が求めるものに合わせて応対する
チェーピン氏が大学生活を終えて高級レストランの皿洗いとして働くようになると、やがてバーテンダーへの昇進が検討されるようになりましたが、ここでも社交スキルの低さがネックとなっていました。そこで、尊敬されているウェイターたちを観察してみると、中には「気の利いたゲイっぽい男性」「陽気な田舎娘」といった固定的な役柄を演じている人もいましたが、本当に優秀なウェイターは「相手がどのような社交を望んでいるのかを理解し、それを相手と一緒に楽しむ」という柔軟性を持っていることに気付きました。
たとえば、テーブルに座った客がぶっきらぼうに注文した場合、優秀なウェイターは効率的かつストイックに返答していました。客が軽口をたたいたり冗談を言いたがったりすると、ウェイターは元気よく答え、どんな言葉でも喜んで受け入れたとのこと。つまり優秀なウェイターは既存のアイデンティティを固めるのではなく、ただ遊び心を持って、それぞれの客に応じた接客をしていたというわけです。
このやり方を学んだチェーピン氏は、柔軟な対応を身につけるために熱心に練習しました。特にレストランは客が定期的に入れ替わるため、新しいやり方を試すのにうってつけの職場だったとのこと。そして1年後には、上司から「君はトップセールスマンにはなれないだろうけど、とてつもなく人を居心地良くさせてくれるね」と評価されるほどになりました。この頃になるとチェーピン氏は、自分がなかなか魅力的な存在になったのではないかと感じるようになっていたとのこと。

◆3:相手の緊張をほぐして親しみやすい存在になる
さらに洗練されたレストランで働き始めたチェーピン氏は、10年以上も社交の場でスキルに磨きをかけてきた、自分よりずっと優れたウェイターに囲まれることになりました。その中でもチェーピン氏を魅了したのは、注文を忘れたりうっかり終了したメニューを勧めたりするものの、素晴らしい社交性のおかげでみんなから愛されるウェイターでした。
この人物が奇妙だったのは、あいさつのように「家に帰ろう!」と言ったり、何かを褒める時に「かわいいボールだね」と言ったりと、独特の言い回しや癖がたくさんある点でした。しばらく観察していたチェーピン氏は、これらの奇抜さが周囲に向けた「ここではリラックスしていい」という暗黙のメッセージになっており、それが人々に愛される理由だったことに気付いたそうです。
そこでチェーピン氏自身も会話にちょっとした無害な程度の奇抜さを取り入れ、水がほしいか尋ねる時にあえて「どうも……お水……お持ちしましょうか?」と変な言い方をしてみると、ほとんどの客はこうしたやり取りを気に入りました。チェーピン氏は、「わざとぎこちなく振る舞うことで、私は彼らにとって気取った店の冷淡な代表者ではなく、親しみやすい仲間になったのです」と述べています。
ある時は、オリーブオイルを服にこぼしてしまった相手に「すみません、あなたが素晴らしい人だなと思って、気を取られてしまいました」と言い、逆に気に入られたこともあったそうです。記事作成時点でもチェーピン氏は、何気ない雑談の大部分で「相手に何かを伝えること」ではなく、「相手の緊張をほぐすこと」を重視しています。

◆4:相手の微妙な身体的サインを察知して身を任せる
高級レストランを辞めてフリーランスライターになったチェーピン氏は、カリフォルニアに拠点を置く多くの人々と同じように、セルフセラピーと瞑想(めいそう)オタクになりました。すると突然、自分自身の感情がどれほど主観性に影響を与えるのかが理解できるようになり、周囲の人々が繊細的な非言語的サインを出していることが唐突にわかり始めたそうです。
チェーピン氏が新たに気付いたものには、「過小評価されていると感じている人が醸し出す疲労感」「不安を感じている責任者の警戒心や硬直性」「神経質な知識人が感情を乱高下させるスピード」「自分が性の対象になるのではとアピールする人の物憂げな口調」「真の自信を持っている人のライオンのような無頓着さ」などがありました。
チェーピン氏は、「長年の知り合いの、新たな微妙な一面が見え始めました。まるで、みんなにまた会えたような気がしました」「この新しい視点から見ると、人とのつながりはまるでダンスのようでした。リアルタイムでボディランゲージを通して受け取る情報に意識を集中させてしまうと、コミュニケーションは鈍くなってしまいます。しかし、目の前の身体的データに魅了され、没頭している状態でただ反応するだけで、どういうわけか大抵はうまくいきました」と述べています。

◆5:相手のことを愛して受け入れる
チェーピン氏は2021年にライティングのコーチングを始めましたが、当初はコーチングの経験もほとんどなかったため、自分のスタイルを模索していました。そんな中、チェーピン氏は偏見を持たずにオープンな姿勢を持つ「癒やしの力」を持つ人のことを思い浮かべ、コーチングの際にこうした人々のやり方を模倣してみたとのこと。
相手が抱えている問題の根本を探ろうとするのではなく、ただ相手の言うことを聞くようにしてみると、やがてコーチング相手は感情を一気に解放させて泣きじゃくり、心を開かせてくれたことに感謝を伝えてくるようになりました。実際のところ、チェーピン氏はただリラックスして相手のことを優しく見つめ、いくつか質問をした以外は何もしませんでしたが、それにより多くの人々が救われた気持ちになったそうです。
チェーピン氏の分析によると、多くの人々は自分の声に熱心に耳を傾けてくれる人がおらず、自分の声を聴いてもらいたがっているため、存在感とオープンさを保って話を聞くだけで「砂漠のオアシス」かのように感じてもらえるとのこと。この方法を意図的に使えるようになって以降、チェーピン氏は統合失調症の患者であれ、初めてデートする共通点の薄い人であれ、誰とでもすぐに親密になれるようになりました。

◆6:つながりを取捨選択する
これまでの段階で、人とつながる能力を発達させてきたチェーピン氏でしたが、やがて「自分は本当にもっと他人とつながりたいのか?」と自問するようになりました。そして、セラピーの会話においてさえ、感情的なつながりを最大限にしようと急ぐことが必ずしも最善ではないことに気付いたとのこと。
また、同時期に付き合い始めた今の妻から、「たくさんの女性があなたに恋しているみたい。悪意があるとは思わないけど、これはきっとあなたが持っている何かのせい」と指摘され、実際その通りだと反省したそうです。チェーピン氏は、「実際その通りでした。私は感情的なつながりを無差別にちらつかせて回っていましたが、それが『浮気』だと解釈されて当然だという事実は無視していたのです」と述べています。
そこでチェーピン氏は人とのつながりをペースダウンすることに決め、目標を「人とのつながりを『0』~『10』まで変化するダイヤルと捉え、どのダイヤルでも心地よくいられるようになること」に定めました。今のチェーピン氏は、ほとんどこの目標を達成できているとのこと。
チェーピン氏は、「私は胸が張り裂けるほど感情豊かな交流を持つ一方で、表面的で気さくな、軽やかに跳ねるような会話も交わします。人からはよそよそしいと言われたり、時には少し威圧的に見えると言われたりしますが、それはむしろ歓迎すべきことです。私はようやく、社会的に正常になったのでしょう」と述べました。

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