年齢確認を義務化する法律には十分な効果がなく無駄な負担ばかり増えているという分析結果

イギリスでは2024年に「オンライン安全法」が施行されたり、アメリカでも2025年5月に「アプリストア責任法」が成立していたりと、未成年者を性的や暴力的なコンテンツから保護するため、SNSやアダルトサイトに年齢確認を義務付ける施策が各国で進んでいます。各サイトやプラットフォームでは年齢確認を実施するための仕組みが追加されていますが、公共政策を専門とする非営利団体が実施した調査では、これらの施策は費用や負担が大きい一方で、十分な効果が得られていない可能性が報告されました。
Perspective25-06Final.pdf(PDFファイル)
https://www.phoenix-center.org/perspectives/Perspective25-06Final.pdf

Age-verification laws don't keep minors off adult sites, study suggests | Mashable
https://mashable.com/article/age-verification-may-impede-on-adults-rights-study-suggests
オンライン安全法は「ソーシャルメディア企業、検索エンジン、メッセージングアプリ、ゲームアプリ、出会い系アプリ、ポルノサイト、ファイル共有サイトに新たな安全義務を課すもの」と説明されており、実際に2025年7月にはBlueskyやReddit、大手ポルノサイトのPornhubなどが、制限コンテンツを表示する前に具体的な確認を含む年齢認証を導入しました。一方で、これらの法律は過度な検閲を要求し、場合によってはコストのかかる年齢認証システムを設けなければならないなど、小規模なサイトを始めとしてプロバイダーに負担がかかりすぎるなどの点から批判が寄せられていました。
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年齢確認を義務付ける法律では基本的に、訪問者に「はい/いいえ」で選択する年齢確認だけではなく、身分証明書や顔認証スキャンなどを用いて行うことが義務付けられています。例えばRedditの場合、性的に露骨な内容や暴力的な内容に関連する「未成年者向け制限コンテンツ」を閲覧する際の年齢確認として、サードパーティプロバイダーの「Persona」を使用しています。Personaはユーザーが入力した生年月日と身分証を確認した上で、ユーザーのプライバシー保護のためデータを7日間以上保持せず、認証状態のみ保存するという仕組みになっています。
公共政策を専門とする非営利団体フェニックス・センターは、年齢確認の義務化には効果がなく、アメリカの憲法上、規制の負担と利益を比較する「費用便益テスト」に合格しない可能性を指摘しました。アメリカの憲法における表現の自由では、「政府の規制が表現の自由を制限する場合、その制限が正当化できるかを『利益と負担のバランス』で検討する」という枠組みがあります。しかし、2025年11月12日に発表された調査結果では、年齢確認を義務化することで得られる社会的利益よりも、成人のプライバシー侵害やアクセスの制限という負担の方が重いため、年齢確認の義務化は憲法上正当化できないことが指摘されました。
フェニックス・センターの主任エコノミストであるジョージ・S・フォード氏らは、Googleトレンドの検索データを分析することで、年齢確認義務化を導入した州と未導入の州の違いを比較しました。分析の結果、年齢確認を導入した州では、以下の傾向が顕著に確認されたと報告しています。
・年齢確認を回避するためのVPNに関する検索が大幅に増加
Pornhubがテキサス州からのアクセスを規制した週では、VPNに関する検索が47%増加し、その傾向は約20週間持続しました。
・年齢確認を求めない無料ポルノの検索が増える
大手サイトに年齢確認が追加されたことで、年齢確認を求めない「無料ポルノ(free porn)」の検索が30%増加し、その後大幅な減少は見られませんでした。
同様の傾向はイギリスでも発生しており、オンライン安全法に基づく年齢確認が2025年7月から始まったことを受けて、VPNサービスの利用数が1400%に増加したことを、VPNサービス「Proton VPN」を提供するProtonが明らかにしました。また、ワシントン・ポストが2025年9月に実施した調査では、「年齢確認のルールを順守したサイトはトラフィックが減少し、無視したサイトはアクセスが急増している」ことが報じられ、「規則を無視するサイトが得をする」事態になっていると指摘されました。
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フォード氏は調査結果を受けて、「年齢確認義務の対象となる未成年者はハイテクに精通しており、簡単に規制を回避できます。一方で、憲法上の権利を行使してコンテンツを閲覧できる成人は、大きなコストを負担することになっているのが、年齢確認義務の規制体制です」と語りました。また、年齢確認義務は簡単に回避されるため、未成年を守るという「便益」が極めて限定的であり、「憲法上の表現の自由が妨げられる要件を満たさない」と、年齢確認義務を課す法律が憲法違反である可能性を指摘しています。
一方で、生体認証に関するニュースを扱うBiometricUpdateは、フェニックスセンターの調査結果を受けた上で、「オンライン安全法とそれに伴う年齢確認要件の重要な側面を根本的に誤解している」と述べました。BiometricUpdateによると、VPNや無料ポルノの検索数が増えたことと、未成年者がVPNを使って年齢確認を回避した実例に相関関係があると仮定するのは無理があるとのこと。また、仮にテクノロジーに精通した未成年者がVPNを活用して規制コンテンツにアクセスしていたとしても、「幼い子どもが意図せず過激なコンテンツに遭遇してしまう」という事態は防ぐことができているため、年齢確認義務には効果があるとBiometricUpdateは述べています。
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