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「ウェブ魚拓サービスのArchive.todayに圧力をかける団体の実態は非常に怪しい」という調査結果をAdGuard DNSが公表


ウェブページのスナップショットを保存するアーカイブサイト「archive.today」について、広告ブロックDNSサーバーを運営するAdGuard DNSが「archive.todayをブロックしろという不当な圧力があった」とブログで報告しています。

Behind the complaints: Our investigation into the suspicious pressure on archive.today
https://adguard-dns.io/en/blog/archive-today-adguard-dns-block-demand.html

archive.todayは、指定したサイトのコピーを外部サーバーに保存することで、ページが削除された時などでもアクセスを可能にしてくれるウェブ魚拓サービスの一種です。archive.todayの管理者の身元は謎に包まれており、FBIの捜査対象になっていると2025年11月に報じられています。

FBIがウェブ魚拓サービス「archive.today」の所有者の身元を捜索中 - GIGAZINE


広告ブロックやプライバシー保護を提供するAdGuard DNSは、「Web Abuse Association Defense(WAAD)」という団体から、archive.todayとそのミラーサイトをブロックするよう要求を受けたと報告しています。WAADは、「archive.todayは児童性的虐待記録物(CSAM)をホストしており、2023年から削除要請を無視し続けている」と主張しました。さらにWAADは、「AdGuard DNSがこの要請に従わない場合は法的責任を問う」と脅迫的な文言を用いて即時の対応を迫ったとのこと。


この要求に不審な点を感じたAdGuard DNSがarchive.todayに直接問い合わせたところ、archive.todayの管理者は数時間以内に該当するコンテンツを削除しました。しかし、archive.todayの管理者は「これまでそのURLに関する削除要請を受け取ったことはなく、過去に要請を無視したというWAADの主張は事実ではない」と回答。さらに管理者は、フランスの組織を名乗る同様の不審な苦情がさまざまな企業に対して送られていることを明らかにしました。

そこで、AdGuard DNSがWAADという団体について調査を進めたところ、多くの不可解な点が浮き彫りになりました。

まず、WAADのウェブサイトは欧州刑事警察機構などの法執行機関への言及があるものの、提携の証拠はありませんでした。また、組織のドメイン自体が2025年の2月から3月頃に登録されたばかりで、X(旧Twitter)のアカウントも2025年8月に開設され、フォロワーはわずか4人でした。


さらに、WAADが「証拠」として提出した報告書にも矛盾が見つかりました。WAADは「2023年から無視されている」と主張していましたが、提出された報告書のタイムスタンプは2025年8月となっていた上、法執行官が作成したものではなく、オンラインサービスを通じて発注された簡易的な記録でした。加えて、報告書の発注者名は、過去に弁護士になりすましてarchive.todayを攻撃した人物の名前と一致していました。

AdGuardDNSは、WAADは何者かが身元を隠すために設立された実体のない組織であり、一連の動きは悪意あるなりすましキャンペーンであると結論付け、FBIによるarchive.todayへの捜査もWAADによるキャンペーンの結果である可能性も示唆しました。


ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは、WAADのウェブサイトは無料のHTMLテンプレートを最小限の編集で使用したもので、ソースコードにはテンプレート由来の無意味なコメントアウトが残されていることが指摘されています。さらに、ドメインのホスティング費用は年間5ドル(約775円)から利用できる安価なもので、2025年1月頃に登録されたものであることも分かっています。

そして、今回の件は典型的な偽旗作戦であり、攻撃者が自ら違法コンテンツをアップロードし、その直後にサイト管理者ではなくDNSプロバイダやホスティング会社に通報するという手口を用いている可能性があるとも指摘されています。WAADは、社会的に許されないCSAMというコンテンツを武器にして、ターゲットに定めたサイトをインターネットから隔離して閉鎖に追い込むことを画策しているというわけです。WAADはフランスの法律を悪用しようとして各所に圧力をかけていますが、自身の身元を徹底的に隠蔽することで、虚偽通報による法的リスクを回避しようとしている可能性が指摘されました。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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