サイエンス

ダイヤモンドが「炭」にならず地上まで運ばれる仕組み


ダイヤモンドの多くは火成岩のキンバーライトに含まれています。地球深部から急速に上昇し地表に噴出する際、ダイヤモンドが炭化されずに運ばれる仕組みが最新研究で明らかになりました。

Why Do 70% of Diamonds Come From One Bizarre Type of Volcano?
https://scitechdaily.com/why-do-70-of-diamonds-come-from-one-bizarre-type-of-volcano/

Buoyancy of volatile-rich kimberlite melts, magma ascent, and xenolith transport
https://pubs.geoscienceworld.org/gsa/geology/article-abstract/53/11/919/660734/Buoyancy-of-volatile-rich-kimberlite-melts-magma

ダイヤモンドを含むキンバーライトは地球マントル深部で形成され、時速100kmを超える速度で地表に運ばれます。ダイヤモンドが炭化せず地表まで到達するのは、急速な上昇によって変化することを防いでいるためです。しかし、キンバーライトの元となるマグマの組成や、これほど速く上昇するメカニズムについては、これまで謎に包まれていました。


オスロ大学のアナ・アンズルビッチ博士らの研究チームは、キンバーライトが急激な上昇を引き起こす条件をコンピュータモデルで解析しました。分子動力学シミュレーションソフトウェアにより、地球深部で溶けた状態のキンバーライトの原子間力をモデル化、深さ方向の変化に伴う原子の運動を追跡し、マントル内を上昇するのに十分な浮力を保持しているかどうかを判断しました。

二酸化炭素や水などの揮発性物質の比率を変えながら計算したところ、上昇するには少なくとも8.2%の二酸化炭素が必要であり、下回る場合はダイヤモンドはマントル内に閉じ込められたまま地表に到達できないことが分かりました。


さらに、揮発性物質がそれぞれ異なる役割を果たしていることも明らかになりました。水はマグマの流動性を高め、二酸化炭素は高圧下で構造形成に寄与し、地表近くではガス化して上昇流を生み出します。最も揮発成分に富んだ組成では、マントルのかんらん岩を最大44%も地表まで運搬できることが判明しました。

アンズルビッチ博士は「小規模なモデルでも、炭素を加えなければキンバーライトのマグマは安定した大陸地殻よりも重くなり、上昇できないことが観察できたのは驚きでした。キンバーライトの化学組成をモデル化することで、地球規模の大きな現象の理解につながるのは非常に意義深いです」と述べています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_logmk

You can read the machine translated English article How diamonds are transported to the surf….