ボイジャー1号が打ち上げから約50年経過した2026年11月に「地球から1光日」の地点に到達予定

by NASA/JPL-Caltech, Public domain, via Wikimedia Commons
NASAが1977年に打ち上げたボイジャー1号は、木星と土星およびそれらの衛星などの観測を当初の目的としていましたが、これらの目的を果たした後も宇宙空間を進み続けています。科学系メディアのIFLScienceが、ボイジャー1号は2026年11月13日に「地球から丸1光日」離れた地点に到達すると解説しています。
On November 13, 2026, A Human-Made Object Will Reach One Light-Day From The Earth For The First Time In History | IFLScience
https://www.iflscience.com/on-november-13-2026-voyager-will-reach-one-full-light-day-away-from-earth-81432

宇宙の広大さを考えると人工物が移動するスピードは非常に遅く、人間が乗った人工物の最高速度は1969年にアポロ10号が樹立した時速3万9897kmです。この速度で移動した場合、地球と太陽の平均距離である1天文単位(AU)を進むのに3730時間(約155日)かかります。
目的地にたどり着くまで155日かかるというのは信じられない遅さですが、移動するのが光や通信電波であれば、1AUを移動するのにかかる時間はわずか8分20秒です。IFLScienceは、「質量がないことがいかに素晴らしいことか、改めて実感させられます」と述べています。
記事作成時点で地球から最も離れている人工物であるボイジャー1号は、1977年に打ち上げられてから半世紀近くにわたって宇宙空間の航行を続けています。2025年11月の時点では地球から約169.5AUの地点に存在しており、地球からの信号が届くまでに約23時間30分ほどかかるとのこと。
IFLScienceの常駐天文学者であるアルフレド・カルピネッティ博士がNASAのデータを使用して計算したところ、ボイジャー1号は2026年11月13日に地球から約259億km、つまり丸1光日離れた地点に到達することがわかりました。この日以降、地球の公転に伴ってボイジャー1号との距離は変化しますが、地球から24光時以内に戻ることはないそうです。

by Dusty Reichwein
ボイジャー1号は地球から丸1光日の地点を過ぎても、2030年代初頭に電力が尽きるまでNASAの誘導に従って進み続けます。その後もボイジャー1号の旅は終わらず、太陽系を離れた後、オールトの雲を通過し、やがてグリーゼ445という恒星に接近する予定です。
オールトの雲は太陽系の外側を球殻状に取り巻いていると考えられている理論上の天体群で、短周期彗星はオールトの雲の内側から、長周期彗星は外側から発生する可能性があるとのこと。推定の下限値では、オールトの雲は太陽から1000AU程度の位置から始まるとみられており、ボイジャー1号は今後数世紀でオールトの雲に到達するかもしれません。しかし、オールトの雲は非常に広大なため、通過するまでに約3万年かかると推定されています。
何らかの天体に衝突せずにオールトの雲を抜けると、ボイジャー1号はその後も長らく無傷で航行を続けられるはずです。そして、探査機の将来的な恒星への接近を予測した論文によると、約4万4000年後にはボイジャー1号がグリーゼ445という恒星に遭遇するとのこと。グリーゼ445はボイジャー1号が到達する最後の恒星ではなく、約30万3000年後にはTYC 3135-52-1という恒星に接近するとみられます。
IFLScienceは、「データを見る限り、ボイジャー1号が近いうちに恒星に捕らえられる可能性は低く、ゴールデンレコードだけを頼りに宇宙を漂い続けることになるでしょう」と述べました。

by NASA's Marshall Space Flight Center
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