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AIバブルが崩壊したらどれほど壊滅的な被害をもたらすのか?


AI開発のあおりを受けてMicrosoftやAppleの株価はうなぎ登り。AI開発に欠かせないGPUを提供するNVIDIAが世界で初めて時価総額5兆ドル(約770兆円)に到達するなど、AIの市場規模は計り知れない大きさに膨れ上がりました。ところが、この経済的価値は「バブル」の状態にあり、いつかはじけてしまうのではないかと懸念する声もあります。AIバブルが崩壊してしまうとどうなるのかについて、ニューヨーク・タイムズなどに寄稿するライター、ブライアン・フィリップス氏が解説しています。

How Catastrophic Is It If the AI Bubble Bursts? An FAQ. - The Ringer
https://www.theringer.com/2025/11/04/tech/ai-bubble-burst-popping-explained-collapse-or-not-chatgpt


フィリップス氏は、「AI企業は膨大な資金を浪費しながらも収益化の道筋が見えず、自社製品が何を目的とするかも明確でない。AI検索エンジンは不正確な情報を返し、AI教師は学習を阻害し、AIセラピストはメンタルヘルスを悪化させるなど、多くの製品が機能不全に陥っている。しかしAIへの過剰な期待があるため、投資家は資金を注ぎ込み続け、株価は急騰している。バブルとは、ある物に対する人々の支払意思額が、その物の価値を著しく持続不可能な水準で上回った状態を指す。このため、今のAIはバブルの状態にあると言える」と指摘しています。

たとえば製造コストが2000円、小売価格が1万円で入手の難しいスニーカーが、オークションサイトで20万円で売られているとします。誰もが「スニーカーに20万円は高すぎる」と感じていたとしても、それでも買うという人がいると価格は上がるため、スニーカーは20万円を超えて売れます。ところが、1人が不安を感じて、最高値より少し安い価格でスニーカーを10足売却したのをきっかけに、「価格が下がるのでは」と考えた人々が手持ちのスニーカーを売却し始めると価値が失われ、オークションでも2万円の値しかつかなくなります。これが「バブル」と「バブル崩壊」です。

価格が分不相応なところまで上がり続けた理由は、人々が「その金額を支払うのは合理的だ」と自分自身を納得させていたからであり、あくまで幻想といえます。このため、「不合理だと誰かが気付く前に処分しよう」と決断する人が出ると、価格が暴落したというわけです。


株価も同じで、投資家の心理が強く影響します。実際にAI企業が何を生み出しているのか、チャットAIや動画生成AIがどれほど高性能になっているのかといった、株価を予想するに値する合理的な指標でさえ、投資家の心理には勝てないことがあります。

ことAIにおいては、AI製品が実際に生み出す価値が誤解されているという問題もつきまといます。例えばOpenAIのチャットボット「ChatGPT」は過去最も成功した生成AI製品ですが、その稼働には非常に高価な計算能力を必要とするため、利用されるたびにほぼ確実に損失を計上しています。

また、AIは電力網に負荷をかけ、一般家庭の電気料金を押し上げるほど巨大なデータセンター建設に資金を注ぎ込んできました。AI企業はAIモデルの訓練や検索クエリの実行に用いられる処理能力、いわゆる「コンピューティング」に資金を注ぎ込んでおり、各社はますます奇妙で不透明な循環取引を繰り返しています。例えばNVIDIAはOpenAIに数十兆円規模を投資し、OpenAIはその資金をNVIDIA製品購入に充てました。フィリップス氏は、「OpenAIが目指すところの数百兆円規模のIPOは、事業の堅調さを示すものではなく、OpenAIが語る『物語』なのです」と指摘しました。


こうしたAIバブルへの不安は記事作成時点で高まり続けており、映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のモデルとなったマイケル・バリー氏はNVIDIAとソフトウェア会社パランティアの株価下落に11億ドル(約1700億円)を賭けました。フィリップス氏は、AIバブルが崩壊すると、生成AIを導入した企業、AI開発関連のテクノロジー企業等に影響を与え、数万人の失業者を生み、投資資金を蒸発させ、少数の富の支配者層以外の人生を破滅させるだろうと予想しています。

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in AI,   メモ, Posted by log1p_kr

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