自慰行為の習慣は年齢と共に変化する、男性は19歳~50歳まで安定しており女性は30代前半でピーク

自慰行為(マスターベーション)は必ずしもすべての人がするわけではないものの、男女共に性生活の重要な側面を占めています。2500人以上の被験者を長期間追跡した研究により、自慰行為の習慣が年齢によってどのように変化するのかが明らかとなりました。
Full article: Masturbation Trajectories from Late Adolescence into Mid-Adulthood: A Population-Based Longitudinal Study
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00224499.2025.2489091

New longitudinal study reveals how masturbation habits evolve from young adulthood to midlife
https://www.psypost.org/new-longitudinal-study-reveals-how-masturbation-habits-evolve-from-young-adulthood-to-midlife/
自慰行為は人間にとって一般的かつ健全なものですが、パートナーとのセックスに比べると研究が進んでいません。このテーマに関する既存の研究の多くは、ある時点の状態を捉えた横断的なものであり、特定個人において自慰行為の習慣が加齢と共にどのように変化するのかは、よくわかっていないとのこと。
科学者らは、自慰行為とパートナーとのセックスの関連についても議論してきました。「代償モデル」という考え方では、パートナーとセックスする機会が少ないと自慰行為が増えるとされており、別の「補完モデル」という考え方では、自慰行為が活発なセックスを補完するものであると考えられています。これらに加え、自慰行為はセックスとまったく切り離された、自律的な行動であるとする説も提唱されています。
今回、ノルウェーのオスロ大学の研究チームは、特定の個人を長期間追跡したデータを用いて、加齢による自慰行為の変化を調べました。調査に用いられたのは、ノルウェー人を10代から追跡した「Young in Norway study」のデータであり、今回は2562人のサンプルに焦点が当てられました。
データには、被験者から3つの異なる時期に収集された調査回答結果が使われました。この豊富なデータセットにより、研究チームは19歳~50歳に至る自慰行為の頻度の変化について、モデル化することができたとのこと。
被験者は自慰行為の頻度だけでなく、パートナーとのセックスや性的空想の経験についての情報を提供しました。また、パートナーとの関係性や子どもの有無、性的アイデンティティ、学歴、宗教といった項目についても回答したそうです。研究チームはマルチレベルモデルという統計手法を用いて、自慰行為の変化が時間と共にどのように変化するのか、そしてさまざまな要因がこのパターンにどう影響したのかを調べました。

分析の結果、まずは男性と女性における自慰行為のパターンの違いが明らかとなりました。女性の場合、自慰行為の頻度は19歳から徐々に増加し、31歳頃にピークに達して、その後緩やかに減少し始めました。一方で男性の場合、19歳から50歳に至るすべての年齢層で、ほぼ安定した頻度で自慰行為をしていることがわかりました。
次に、パートナーとセックスする頻度が自慰行為の頻度に及ぼす影響を調べたところ、男女共に自慰行為の頻度に有意な変化はみられませんでした。この結果は、自慰行為はパートナーとのセックスの代替や補完ではなく、自慰行為そのものが目的となった自律的なものであるという説を支持しています。
他の要因を考慮すると、さらに複雑なパターンの変化がみられました。男性の自慰行為の頻度は安定的に見えましたが、性的空想の頻度を考慮すると、19~36歳にかけて自慰行為が減少し、その後再び増加するという傾向がみられました。パートナーの有無を考慮した場合も同様のパターンがみられ、30代半ばにかけて自慰行為が減少したとのこと。一方、女性の場合は性的空想やパートナーの有無を考慮しても、大きな変化は確認されませんでした。
また、子どもを持たない被験者は30歳頃まで自慰行為の頻度が顕著に増加したものの、その後は急激な減少がみられました。他にも、非異性愛者であると自認する被験者は異性愛者よりも頻繁に自慰行為をしていることや、教育レベルに基づく自慰行為の頻度の違いはみられなかったこと、宗教的な意識が19歳時点の女性における自慰行為の少なさに影響していることなども報告されています。

今回の研究はあくまで被験者の自己申告に基づいており、記憶の不完全さやデリケートな話題に関する恥の意識に影響されている可能性があります。また、被験者はいずれも1970年代生まれのノルウェー人であるため、時代や文化的背景では異なる結果になることも考えられます。
研究チームは今後の研究で、パートナーとのセックスと自慰行為の動的な相互作用、特に関係の質や個人の性欲レベルの影響について、より詳細に検討できるかもしれないと示唆しました。
・関連記事
「マスターベーションをする人が男女ともに増加している」という研究結果が発表される - GIGAZINE
自慰行為が脳に与える良い影響と悪い影響とは? - GIGAZINE
科学に裏付けされた「自慰行為のメリット」とは? - GIGAZINE
就寝前のセックスや自慰行為は客観的な睡眠の質を向上させることが判明 - GIGAZINE
自慰行為をやめると体にどんな変化が起きるのか? - GIGAZINE
男性の自慰行為は生殖管から病原体を洗い流すために4000万年前から進化してきたのではないかと研究で明らかに - GIGAZINE
女子が自慰行為を行うのは普通のことなのか? - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article Masturbation habits change with age, rem….







