サイエンス

犬がボール遊びに夢中になるのは人間の中毒症状と類似している可能性


スイスのベルン大学の研究者らが、一部の家庭犬に見られる「過度な遊びへの意欲」が、ギャンブルやインターネットゲームといった人間の「行動嗜癖(しへき)」と類似している可能性を調査しました。この研究は、犬が人間に次いで、人工的な誘導なしに自発的に嗜癖に似た行動を示す唯一の動物であるかもしれないという点に注目しています。

Addictive-like behavioural traits in pet dogs with extreme motivation for toy play | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-025-18636-0

Some Dogs Are So Ball-Obsessed, It Could Mirror Human Addiction : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/some-dogs-are-so-ball-obsessed-it-could-mirror-human-addiction

行動嗜癖とは、長期的な悪影響があるにもかかわらず、報酬となる活動を繰り返し行ってしまうことを特徴とします。科学系ニュースサイトのLiveScienceによれば、飼い犬は人間以外では自発的に中毒のような行動を示す唯一の種として認められているとのこと。


この研究の対象となったのは、特に遊びへの意欲が高いとされたオスの犬56匹とメス犬の49匹、合計105匹です。研究では、犬の行動テストと飼い主へのアンケートを組み合わせて、行動嗜癖の主要な基準を満たすかどうかを評価しました。

その結果、犬の行動を評価する「嗜癖様行動テストスコア(AB-Tスコア)」に基づき、33頭が強い傾向を示す高AB犬に分類されました。

高AB犬は、低AB犬と比較して、玩具への強い欲求を示す「渇望」、他の刺激よりも玩具を優先する「際立ち」、そして衝動を抑えられない「自己抑制の欠如」という3つの基準において有意に高いスコアを示しました。特に、高AB犬は、手の届かない箱に入れられた玩具に有意に長い時間関わり続け 、餌が入ったパズルや飼い主との交流といった他の魅力的な報酬を無視して、手の届かない玩具に注目し続ける傾向が見られました。この行動は、人間の行動嗜癖において、薬物以外の報酬を犠牲にしてでも物質を取り続ける行動に類似しています。


また、飼い主へのアンケート結果も、行動テストの結果を裏付けるものでした。高AB犬の飼い主の多くは、犬が「遊びが満足いくまでますます多く必要になる」ことや 、「悪影響があるにもかかわらず遊び続ける」という項目に強い関連性があると感じていました。これは、実際の生活では、過度な遊びが健康上の問題を引き起こす可能性があるにもかかわらず、遊びを止められないという基準が満たされていることを示唆しています。

オンラインゲームが人間に喜びをもたらすように、おもちゃで遊ぶことは犬に喜びをもたらします。しかし、遊びが過度になると問題が生じる可能性があり、中にはお気に入りの物に対して有害な強迫観念を抱きやすい犬もいるようです。研究チームは「今回の結果は、現実世界で悪影響があるにもかかわらず中毒のような行動を続けるという基準を満たす犬もいるかもしれないことを示唆しています」と主張しています。


また、研究チームは「今後の研究では、犬の中毒性行動の個体差と、人間の中毒性行動に関連する特性、例えば衝動性の高さ、逆転学習の障害、固執の亢進(こうしん)、報酬を得た反応の消去の遅延などとの関連性を探るべきです」と結論付けました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1i_yk

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