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Microsoftは約270万人のMicrosoft 365ユーザーに安価な「AIなしプラン」の存在を隠していたとしてオーストラリア当局がMicrosoftを提訴


オーストラリアの競争・消費者委員会(ACCC)が、Microsoftとそのオーストラリア法人を相手取り、連邦裁判所に訴訟を提起しました。これは、MicrosoftがAIアシスタントのCopilotをMicrosoft 365プランに統合した際、サブスクリプションのオプションと価格変更について、約270万人のオーストラリアの顧客を誤解させた疑いがあるためです。

Microsoft in court for allegedly misleading millions of Australians over Microsoft 365 subscriptions | ACCC
https://www.accc.gov.au/media-release/microsoft-in-court-for-allegedly-misleading-millions-of-australians-over-microsoft-365-subscriptions


Copilot統合後、オーストラリアでは「Microsoft 365 Personal」プランの年間サブスクリプション価格が45%値上がりしました。また「Microsoft 365 Family」プランの年間サブスクリプション価格も29%値上がりしています。

さらに、ACCCの主張によると、Microsoftは「Microsoft 365 Personal/Family」で自動更新を有効にしている加入者に対し、「Copilotの統合を受け入れてより高い価格を支払うか、解約するかの二択しかない」と通知したとのこと。


しかし、実際は「Microsoft 365 Classic」というCopilotを含まないまま既存のプランの全機能をより安い価格で維持できるプランが存在していました。Microsoftは加入者への通知で「Classic」プランの存在に言及しておらず、加入者がこれにアクセスできる唯一の方法は、Microsoftアカウントのサブスクリプションセクションに移動して、「サブスクリプションのキャンセル」を選択して解約手続きを開始しなければなりませんでした。このキャンセル手続きの途中で、Classicプランへの移行オプションが初めて表示されるようになっていたとのこと。


ACCCは、「Microsoftはより低価格でCopilotなしの既存プランの全機能を維持できるClassicプランを選択肢として提示しないなど、ユーザーが十分な情報に基づいた決定を行う機会を奪った」と指摘。「多くのユーザーは、利用可能なすべてのオプションを知っていればClassicプランを選択しただろう」という考えを示しました。

ACCCの議長であるGina Cass-Gottlieb氏は、Microsoftが意図的にClassicプランへの言及を省略し、より高価なCopilot統合プランの加入者数を増やすために、解約手続きを開始するまでその存在を隠蔽していたと主張しています。

ACCCは裁判所に対し、罰則、差し止め命令、宣言、消費者への償還、および費用を含む命令を求めました。企業に対する違反ごとの最大罰則は「5000万オーストラリアドル(約50億円)」、あるいは「得られた利益の3倍」、利益の総額が決定できない場合は「違反期間中における売上高の30%」のいずれか高い方と定められています。

この問題について、Microsoftの広報担当者は「ACCCの主張を詳細に確認中であり、消費者の信頼と透明性はMicrosoftの最優先事項です」とコメントしました。


なお、今回訴訟に発展したのはオーストラリアにおいてですが、「アメリカでもMicrosoft 365 Personalプランをより高額なCopilot付きのプランに切り替えさせられた」という報告が、ソーシャルニュースサイトのHackerNewsにあがっています。

また、AdobeのCreative Cloudでもこれと似たようなケースがあったと報告されています。

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in AI,   ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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