サイエンス

古代エジプトの「警察」が牛の骨でできた小さな笛を使っていた可能性


エジプトの考古学者らが、牛の骨で作られた約3300年前の笛を発見しました。考古学者らはレプリカを作成して実際に音を鳴らすことに成功しています。

International Journal of Osteoarchaeology | Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/oa.70026

A tiny cow bone whistle may have been used by ancient Egyptian 'police'
https://phys.org/news/2025-09-tiny-cow-bone-ancient-egyptian.html

Tiny Bone Whistle May Have Been Used by Ancient Egyptian Cops 3,300 Years Ago : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/tiny-bone-whistle-may-have-been-used-by-ancient-egyptian-cops-3300-years-ago

オーストラリアのグリフィス大学の考古学者ミシェル・ラングレー氏が率いる研究チームが発見したのが、以下の遺物です。


見つかった遺物は若い牛の指の骨で、長さはわずか6.3cmです。骨を貫通する穴が1つ開いている以外は、特に加工もされていませんでした。この穴がきれいでまっすぐだったことから、意図的に空けられたものだとラングレー氏らは考え、何に使われていたのかを考察しました。

考えられる用途としては、装飾用の置物やお守り、玩具、取っ手、あるいは狩猟用の笛などが挙げられます。ただ、装飾品という説は「古代エジプト人は装飾の技術に富んでいて、穴が1つしかないのはおかしい」といった理由から、玩具あるいは取っ手という説は「継続使用による摩耗の跡がない」といった理由から却下され、最終的にこの骨は笛として使われていたという仮説が残りました。

そこで、ラングレー氏らが現代の牛の骨を用いてレプリカを作成し、穴に息を吹きかけてみたところ、以下のムービーを再生するとわかるように、大きく甲高い音が鳴ったそうです。これにより、ラングレー氏らは「この遺物は笛として使われていた可能性が高い」と結論づけています。


遺物が発見された場所で狩猟が行われていた痕跡がないこと、また狩猟用だとすれば鳥の鳴き声を模倣しているはずだということから、狩猟用の笛である可能性は低いと考えられるそうです。また、シンプルな音色であることから楽器の説も除外されました。

一方、遺物は警備員の宿舎または駐屯地と推定される建物内で発見されており、王家の墓所も近く警備が厳重だったと考えられることから、おそらく付近を警備していた「警察」のような存在が伝令用に使用していたと考えられるといいます。


ラングレー氏らは「この研究は、明るくきらびやかな文化の、一見すると平凡な品物について研究することの価値を浮き彫りにしています。エジプト王朝時代に作られ、使われていたもののすべてが、加熱され、変形され、成型された材料から作られたわけではありません。ただの骨でさえ、エジプトの過去を知る上で重要な手がかりとなる可能性があるのです」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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