洪水によるHDD価格急騰という危機を乗り切ったBackblazeの泥臭すぎる作戦とは?

クラウドストレージサービスを展開するBackblazeは定期的にHDDやSSDの故障率を公表していることでも知られています。そんなBackblazeは2011年にタイで発生した洪水に伴うHDDの世界的品不足の影響を受けつつ、サービス価格を値上げせずに維持することに成功しました。このHDD不足に対する泥臭すぎる作戦の全貌が2012年の公式ブログで解説されています。
Farming Hard Drives: How Backblaze Weathered the Thailand Drive Crisis
https://www.backblaze.com/blog/backblaze_drive_farming/
2011年にタイで発生した洪水は広範囲に長期間の影響を及ぼし、大手ストレージ製造企業のWestern Digitalの工場も浸水して製造停止に追い込まれました。これにより、HDDの品不足が発生して日本を含む世界中でHDDの価格が急騰しました。
タイ大洪水の影響でHDDの販売価格が軒並み急騰、年末商戦への余波も - GIGAZINE

当時のBackblazeはHDDをメインにシステムを構築しており、合計50TBを超えるHDDを毎日増設していました。しかし、タイの洪水に伴って購入対象のHDDが数倍の価格になってしまいました。社員が集まって対策を検討した結果、大手小売店のコストコとベストバイでは3TBの外付けHDDが内蔵HDDと比べて100ドル(約1万500円)安く売られていることが判明し、社員たちで手分けして外付けHDDを買いに行くことに決定しました。以下はコストコで3TBの外付けHDDを52台購入した際の記念写真です。

Backblazeでは法人向けのHDDではなく市販のHDDやマザーボードで構築したストレージポットを利用していました。このため、「コストコやベストバイで売られている外付けHDDを購入し、分解してHDDを取り出し、ストレージポッドに装着する」という作戦を実行できたわけです。

ところが、HDD不足な長引いた結果、2011年11月中旬からコストコなどの小売店でも「HDDは1人2台まで」という購入制限が始まりました。そこでBackblazeは5人で1日3店舗を巡り、1週間で210台を購入するという見積もりを立てました。品切れの店舗もあったため見積もり通りにはいきませんでしたが、諦めずに小売店を巡り続けたとのこと。以下はある日の終業後のHDD購入ドライブの軌跡を示したものです。サンフランシスコ湾を一周してコストコとベストバイを10店舗巡り、46台のHDDを買うことに成功。走行距離は約340kmに達したそうです。

HDDを大量に購入し続けた結果、2011年11月下旬にはBackblaze社員たちがコストコから出禁を言い渡されることとなってしまいました。社員の親戚や友人に協力を仰ぎ、代わりにHDDを購入してもらったとのこと。こうした努力によってBackblazeはサービスを値上げせずに危機を乗り切ることに成功しました。
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in ハードウェア, Posted by log1o_hf
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