「マスターベーションをする人が男女ともに増加している」という研究結果が発表される

人々がマスターベーションをする頻度を含む10年分以上のデータを分析した新たな研究により、2000年代初頭から2010年代初頭にかけて、男女ともにマスターベーションをする割合が増えたことが明らかとなりました。
Full article: Trends in Masturbation Prevalence and Associated Factors: Findings from the British National Surveys of Sexual Attitudes and Lifestyles
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00224499.2025.2555053

New research reveals masturbation is on the rise and challenges old ideas about its role
https://www.psypost.org/new-research-reveals-masturbation-is-on-the-rise-and-challenges-old-ideas-about-its-role/
マスターベーションは男性に限らず女性も行うものですが、長年にわたり「男性のマスターベーションはパートナーとセックスできない場合の代替的なものであり、女性のマスターベーションはもともと性生活が活発な場合に行われる補完的なものである」と説明されていました。
しかし現代では、セックスやマスターベーションに関する社会的な態度や環境が変化しているため、このようなジェンダーに基づく枠組みを疑問視する声も高まっています。また、マスターベーションに関する堅固かつ大規模な研究が不足しており、明確な傾向を知ることが難しいという指摘もあります。
そこでイギリスやノルウェーの研究チームは、イギリスで実施された「National Survey of Sexual Attitudes and Lifestyles(性的態度および性生活の全国調査)」の第2波・第3波のデータを分析しました。これはイギリスの一般人口を代表するように設計された大規模調査で、第2波は1999年~2001年にかけて実施され、16歳~44歳の1万1161人が参加しました。第3波は2010年~2012年に実施され、16歳~74歳の1万5162人が参加しました。
回答者は訓練を受けたインタビュアーによって自宅でインタビューを受けたほか、マスターベーションなどに関するデリケートな質問については、コンピューターを通じた自己記入形式で回答しました。研究チームは第2波と第3波のデータを直接比較するため、16歳~44歳のデータのみを用いて分析したとのこと。

分析の結果、「過去1カ月間にマスターベーションをした」と回答した人の割合が、第2波から第3波にかけて統計的に有意に増加したことがわかりました。具体的には、女性では過去1カ月間にマスターベーションをした人が第2波では37.0%だったのが、第3波では40.3%に増加しました。また、男性では第2波の時点で73.4%だったのが、第3波では77.5%まで増えたと報告されています。また、「生涯で一度もマスターベーションをしたことがない」と回答した女性の割合も、第2波の28.5%から第3波の24.1%へと減少していました。
過去1カ月間にマスターベーションをした人の割合は、特に16歳~24歳の若い世代で顕著に増加していたとのこと。交際状況別に見ると、男女ともに一時的なパートナーや安定したパートナーがいる人において、マスターベーションが増加する傾向がみられました。一方、パートナーのいない人では第2波と第3波で有意な差はみられませんでした。研究チームは、第2波と第3波の間に起きたインターネット上の静的コンテンツへのアクセス増加など、広範な文化的変化が性行動のパターンに影響した可能性があると示唆しています。
さらに研究チームは、第3波で回答した16歳~74歳のデータを用いて、社会人口統計や健康状態、人間関係などの要因とマスターベーションとの関連性を探りました。すると、セックスの頻度が高い男性はマスターベーションを行う可能性が低く、反対にセックスの頻度が多い女性はマスターベーションを行う可能性が高いことがわかりました。この結果だけを見ると、従来のマスターベーションに関するジェンダーロールが健在であるように思われます。
しかし、回答者の性生活に関する満足度や欲求を考慮すると、より複雑な結果が浮かび上がりました。過去1カ月間にマスターベーションをしたと回答する割合は、男女ともに「今よりもっと多くセックスしたい」と考えている人の方が高かったとのこと。また、性的関心のレベルがパートナーと異なっていると感じる人や、性生活に不満を抱いている人、性生活に苦痛や不安を感じている人の間でも、マスターベーションをしたを回答する割合が高いことが確認されました。同様に、性的に困難を抱えていると回答した男女や、パートナーが性的な困難を抱えている女性も、過去1カ月間にマスターベーションをする傾向が強いことが判明しました。
これらの結果は、パートナーとの性行為が不満の原因となったり課題をもたらしていたりする場合は従来の説に反し、マスターベーションが男性だけでなく女性においても、「パートナーとセックスできない場合の代替行為」として機能していることを示唆しています。

今回の分析では、男女ともに年齢が若いほど過去1カ月間にマスターベーションをした割合が高くなることや、宗教的信念を重視する人ではマスターベーションをする割合が低くなることなどもわかりました。また、ゲイやレズビアン、バイセクシャルの人は異性愛者に比べてマスターベーションをする割合が高く、過去1年間にセックスをしたパートナーが多い人ほどマスターベーションをする傾向が強いことも示されています。
個人的な信念もマスターベーションの頻度に関連しており、「愛のないセックスも許容できる」と考える人は過去1カ月間にマスターベーションをした割合が高く、「年齢を重ねるにつれてセックスへの欲求は減る」と考える人はマスターベーションをしない傾向がみられました。さらに、自己申告による健康状態が悪い人や、パートナーと同居している人はマスターベーションを行う可能性が低かったとのことです。
なお、今回の研究はあくまで自己申告に基づいており、実態が必ずしも自己申告通りではない可能性がある点に注意が必要です。さらにデータ収集時期が2000年前後および2010年前後であるため、その後のスマートフォンや出会い系アプリの普及などにより、記事作成時点での性行動にはさらなる変化が生じている可能性もあります。
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in サイエンス, Posted by log1h_ik
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