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Amazonの原子力発電所の完成予想図を含む詳細が公開される


AmazonはAI技術の発達と普及に伴うデータセンターの電力需要増加に対応するため、次世代原子炉である「小型モジュール炉(SMR)」の開発プロジェクトを支援する計画を2024年10月16日に発表しました。発表からちょうど1年後となる2025年10月16日には、小型モジュール炉のさらなる詳細と、完成予想図が明かされました。

What are SMRs? See what one of the first SMR facilities in the U.S. could look like
https://www.aboutamazon.com/news/sustainability/amazon-smr-nuclear-energy

生成AIの全体のエネルギー消費量は、2025年に15TWh、2030年には347TWhまで達すると推定されています。アメリカ電気電子学会(IEEE)の推定によると、生成AIのエネルギー消費量が347TWhまで達した場合、原子力発電所を44基追加する必要があるほど電力需要が増加するとのこと。

そこでAmazonは、AI技術の発達と普及に伴うデータセンターの電力需要増加に対応するため、小型モジュール炉とその燃料を開発するX-energyに対して約5億ドル(約750億円)の投資を行い、小型モジュール炉の開発プロジェクトを支援する計画を2024年10月16日に発表しました。小型モジュール炉とは従来の原子炉よりも小型の次世代原子炉であり、出力は一般的な原子力発電所1基よりも小さい一方で、物理的な設置面積が小さいため、既存の送電網の近くに配置できる点や、従来の原子炉よりも構築時間が短い点などがメリットとされています。

Amazonが次世代原子炉の「小型モジュール炉」開発プロジェクトに総額750億円超を投資することを発表 - GIGAZINE


Amazonは2025年10月16日に、小型モジュール炉施設の続報について公式ブログで報告しました。Amazonがワシントン州で計画している小型モジュール炉施設は「カスケード先進エネルギー施設(Cascade)」と名付けられています。Cascadeは信頼性が高く安全な24時間体制のカーボンフリーエネルギーによって、二酸化炭素排出量の削減、持続可能性目標の達成、そして日常生活に欠かせなくなったAIやデジタルツールの稼働にも貢献することを目指しています。

以下は、小型モジュール炉施設の完成予想図としてX-energyが提供したレンダリング。


小型モジュール炉施設の特徴は、独立した部分の集合で構築するモジュール式である点です。以下がブログで示された小型モジュール炉部分のレンダリングで、320MW(メガワット)のセクションを3つ備え、わずか数ブロックの敷地に960MWのプラントを建設しているとのこと。従来の原子力発電所の場合、1GWのプラントでも約1.6平方キロメートル以上の土地を必要とするため、かなりスペースを削減できているそうです。


Cascadeは、建設中に1000人以上の雇用を創出し、原子力事業やエンジニアリング、その他の専門分野で100人以上の常勤雇用を生み出すことが期待されています。X-energyはワシントン州のコロンビア・ベイスン・カレッジに「エネルギー学習センター」を設立しており、X-energyの実際の制御室を再現した高度な教育シミュレーターを用いて、X-energyの原子炉を動かす技術を学生たちに体験させる計画も進めています。


Amazonの最高サステナビリティ責任者であるカラ・ハースト氏は「このプロジェクトは単なる新技術ではありません。成長を続けるデジタル世界を支える、信頼性の高いカーボンフリーのエネルギー源を創出しているのです。小型モジュール炉の可能性と、それが環境と地域社会の両方にもたらすであろうプラスの影響に、私は興奮しています」と語っています。

X-energyのJ・クレイ・セルCEOは「1年前、私たちはAmazonと共に、アメリカにおける新たなエネルギープロジェクトの推進方法、そして経済を牽引するAIなどの技術を推進する方法を、再構築するために動き出しました。この1年間、Amazonの支援により、私たちは技術の進歩を加速させ、世界クラスの才能と専門知識を持つチームを育成し、Cascadeをエネルギーイノベーションの最前線に位置付けることができました。この取り組みの規模は歴史的なものであり、Amazonなどの世界クラスのパートナーと協力できることを大変光栄に思います」とコメントしました。

AmazonのCascadeプロジェクトは、2020年代末までに建設が開始される予定で、2030年代の稼働開始を目指しています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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