日本政府がアニメやゲームなどの日本の知的財産を「かけがえのない宝」と呼んでOpenAIに著作権を侵害しないよう正式に要請したことが海外で話題に

OpenAIが2025年10月1日にリリースした動画生成AI「Sora 2」で、日本のゲームやアニメなどの著作権で保護されたコンテンツを含む動画が大量に生成されて問題となりました。この事態に対して、日本政府がOpenAIに対して「著作権侵害となるような行為を行わないように要請した」ことが海外で話題になっています。
Japan Asks OpenAI To Stop Sora 2 From Infringing on 'Irreplaceable Treasures' Anime and Manga - Slashdot
https://entertainment.slashdot.org/story/25/10/15/133206/japan-asks-openai-to-stop-sora-2-from-infringing-on-irreplaceable-treasures-anime-and-manga
Japan wants OpenAI to stop ripping off manga and anime | The Verge
https://www.theverge.com/news/799938/japan-government-openai-sora
Japan asks OpenAI not to infringe on 'irreplaceable' manga and anime content
https://www.engadget.com/ai/japan-asks-openai-not-to-infringe-on-irreplaceable-manga-and-anime-content-120008580.html?guccounter=1
Japan sends warning to OpenAI over Sora 2 anime videos - Dexerto
https://www.dexerto.com/anime/japan-sends-warning-to-openai-over-sora-2-anime-videos-3267992/
「呪術廻戦」「鬼滅の刃」「ドラゴンボール」「ぼっち・ざ・ろっく」といった日本のアニメや、ピカチュウやマリオといったゲームキャラクターがOpenAIのSora 2でそのまま生成されることが問題となりました。これに対し、OpenAIのサム・アルトマンCEOは状況の改善を約束し、特に日本のコンテンツに言及して権利者への収益分配を示唆しました。
動画生成AI「Sora 2」でキャラクター動画が作られまくっている状況の改善をサム・アルトマンCEOが約束、特に日本のコンテンツに言及し権利者への収益分配を示唆 - GIGAZINE

城内実内閣府特命担当大臣は、2025年10月10日に行われた記者会見で、Sora 2が日本のアニメやゲームのキャラクターが登場する動画を無断で生成できるような状態についての見解を尋ねられました。該当する質疑応答は、以下のページで見られるムービーの13分30秒辺りから視聴できます。
城内大臣記者会見(令和7年10月10日) | 政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/press_conferences/minister_of_state/202510/video-303104.html
質問に対して城内大臣は、「Sora 2について著作権侵害を懸念する声が上がっていることは承知しています」と述べた上で、「アニメ・マンガは世界の人を魅了しつづける、我が国が誇るかけがえのない、かけがえのない宝であります。政府としても、ご懸念の声に配慮しつつ適切に対応してまいりたいと思います」と回答しました。
さらに、大臣は「政府といたしましては、OpenAI社に対しまして、著作権侵害となるような行為を行わないよう要請したところであります」と発言。内閣府において、知的財産戦略推進事務局から直接要請を行ったことを明らかにしています。
この要請がいつのタイミングで行われたのかは不明ですが、自民党の塩崎彰久議員が自身のブログで述べたところによると、Sora 2のリリース直後に各方面に連絡を取り、アルトマンCEOが声明を発表する直前にOpenAIから連絡があったことを明らかにしています。また、塩崎議員は事態が悪化した場合、政府は人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI推進法)第16条に基づき、Sora 2の仕様、フィルタリング方法、モデレーションプロセスの開示を求める可能性があることを示唆しています。
AI推進法第16条の条文は以下の通り。
(調査研究等)
第十六条 国は、国内外の人工知能関連技術の研究開発及び活用の動向に関する情報の収集、不正な目的又は不適切な方法による人工知能関連技術の研究開発又は活用に伴って国民の権利利益の侵害が生じた事案の分析及びそれに基づく対策の検討その他の人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に資する調査及び研究を行い、その結果に基づいて、研究開発機関、活用事業者その他の者に対する指導、助言、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
また、平将明デジタル大臣は10月7日に開かれた記者会見で、日本のキャラクターを勝手に生成できてしまうことについて、「日本のレギュレーションに、OpenAIでSora 2の生成AIを調整してもらって、ルールにあうようにしていただかなければいけないんだろうという風に思います」とコメントしています。
平大臣記者会見(令和7年10月7日) - YouTube

IT系ニュースサイトのThe Vergeは「著作権者向けのオプトアウトポリシーをSoraで廃止して反発を受けているOpenAIにとって、新たな痛手となる」と述べ、アニメやマンガといった日本の芸術は特にデリケートな問題であると評価しました。
オンライン掲示板サイトのRedditでも、r/Gamesやr/technology、r/OpenAIやr/ArtistHateなどで、今回の件を報じる海外メディア記事でスレッドが立てられ、多くのユーザーがコメントを寄せています。
Redditでは、「生成AIのビジネスモデル全体が人間のクリエイティビティを盗むことに依存しているため、OpenAIがこの要請に応じる可能性はほぼゼロだ」「AI企業がこぞって『法律を順守しなければ、私たちのビジネスモデルは成り立ちません』と言っているのはおかしな話だ。まるで、他の行動に対して人々がそんな言い訳を受け入れるかのようだ」など、OpenAI側を批判する声もある一方で、「日本は、AIの学習に著作物の利用を合法化した世界でも数少ない国の一つです。このような結果になるとは考えていなかったのでしょうか?」「これは日本から出る最悪の主張の一つではないでだろうか?なぜなら日本は、著作権のあるキャラクターを自由に同人誌に描け、そこから好きなだけ収益を得られる数少ない国の一つだからだ。もし世界のどこかで、その国のアートをAIトレーニングに容易に利用できる国があるとすれば、それは日本だろう」という声もありました。
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in ソフトウェア, ネットサービス, Posted by log1i_yk
You can read the machine translated English article The Japanese government has called Japan….