韓国の電子行政サービスや政府系クラウドの基盤である国家情報資源管理院で火災が発生しクラウドストレージ「G-Drive」が全焼、バックアップがなく完全に消失してしまうデータも

韓国の国家情報資源管理院(NIRS)のデータセンターで2025年9月26日に発生した火災により、政府の運用するクラウドストレージ「G-Drive」が完全に焼けてしまい、一部のデータが完全に失われてしまったことが明らかになりました。NIRSはG-Driveのほか、ICTインフラや電子行政サービスなどを含む、韓国政府の省庁を横断した国家レベルの統合データセンターで、政府職員のデータ保存先に指定されていました。
G드라이브 전소…12만 공무원 858TB 업무자료 싹 날렸다 | 한국경제
https://www.hankyung.com/article/2025100115651
국정자원 ‘G드라이브’ 8년치 데이터 사라져…“백업 없어 복구 불가능”
https://www.hani.co.kr/arti/area/area_general/1221873.html
NIRS fire destroys government's cloud storage system, no backups available
https://koreajoongangdaily.joins.com/news/2025-10-01/national/socialAffairs/NIRS-fire-destroys-governments-cloud-storage-system-no-backups-available/2412936
G-Drive Fire Destroys 125,000 Officials' Data
https://www.chosun.com/english/national-en/2025/10/02/FPWGFSXMLNCFPIEGWKZF3BOQ3M/
2025年9月26日(金)、韓国の大田広域市にあるNIRSのデータセンターで火災が発生しました。火災はNIRSの5階にあるサーバールームで発生しており、G-Driveを含む政府業務に不可欠な96の重要情報システムが被害にあっています。なお、火災発生から約22時間後に火は消し止められましたが、すべてのサービスが復旧するには相当の時間が必要だと報じられています。
政府の業務システム647基を管理する韓国国家情報資源管理院で火災が発生しサービスが一時停止 - GIGAZINE

新たに、2025年10月1日(水)になって韓国の中央行政機関である行政安全部が、NIRSで発生した火災により韓国政府が運用するクラウドストレージシステムである「G-Drive」が全焼し、約75万人の公務員が個別に保存していた業務ファイルが完全に失われたと発表しました。
G-Driveは2018年から運用されており、公務員はすべての業務文書を個人のPCではなくクラウドに保存することを義務付けられ、1人あたり約30GBのクラウドストレージを利用可能となっていました。しかし、義務付けられていたにもかかわらず、実際に使用していたのは政府職員の17%に相当する12万5000人程度で、保存されているデータの総量は858TBだったとのこと。なお、システムは大容量な一方で性能は低く、バックアップは存在していませんでした。
今回の火災による被害の規模は機関によって異なり、すべてのファイルをG-Driveに保存することを義務づけていた人事管理部が最も大きな被害を受けることになった模様。一方で、G-Driveをそれほど広く利用していなかった国務院政策調整室は、比較的被害が軽微で済んだそうです。
人事管理部は、全ての部署で業務に支障が出ると予想されると発表し、過去1カ月以内に個人のPCに保存されたファイル、メール、公文書、印刷記録などを用いて代替データの復旧に取り組んでいることを明かしています。なお、人事管理部の関係者は、「8年間にわたる作業資料が完全に消えてしまい、途方に暮れています」と述べました。
以下はNIRSで発生した火災により焼けた電子機器を冷却する消防士の写真。

内務省は、正式な報告や承認手続きを経て作成された公文書は、政府による公務員向け業務ネットワーク「オンナラシステム」にも保存されているため、データを復旧できる可能性があると示唆しています。韓国政府の公共サービス担当部長は、「政府に提出された最終報告書や公文書はオンナラシステムにも保存されているため、完全に失ったわけではありません」とコメントしました。
なお、韓国政府はG-Driveの利用者は少ないという認識を示しているものの、今回の火災により国会の監査業務が滞る可能性があると危惧しています。ある局長級の官僚は、「多くの資料が消失したため国会への資料提出に支障が出るかもしれない」と語ったそうです。
内部安全部は今回の火災の被害にあった647基のシステムのうち105基のシステムを復旧することに成功したと報告しています。復旧速度は徐々に遅くなっており、火災が発生したサーバールームの保管庫が復旧作業を遅らせていると説明しました。なお、火災を免れた2~4階のシステムは9月28日に稼働を再開していますが、5階のサーバールームはまだほこりや灰が完全に清掃されないままの状態です。なお、内部安全部の長官は、10月12日までに清掃を終え、焼失したシステムの順次稼働再開を予定していると明かしています。
また、郵便局のオンラインシステムも復旧が遅れており、小規模業者の被害額は126億ウォン(約13億4000万円)に相当することも公表されました。
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in メモ, Posted by logu_ii
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