サイエンス

性的し好や嫌いなものをパートナーに伝えることで関係の質にどのような影響が及ぶのか?


誰しも「性的に好きなことや嫌いなこと」を持っており、これらの性的嗜好(しこう)や嫌悪対象をパートナーに打ち明けることは、健全な恋愛関係を維持する上で重要だと考えられています。ところが、中国で行われた研究では、すべての性的自己開示が同じ効果をもたらすわけではなく、性的に好きなものを開示した場合と性的に嫌いなものを開示した場合では、パートナーとの関係に異なる影響が及ぶことが示されました。

Getting What You Want: How Disclosing Sexual Likes and Dislikes is Associated with Sexual and Relational Outcomes and the Role of Perceived Partner Responsiveness: The Journal of Sex Research: Vol 0, No 0 - Get Access
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00224499.2025.2534974


New study sheds light on how sexual self-disclosure relates to relationship quality
https://www.psypost.org/new-study-sheds-light-on-how-sexual-self-disclosure-relates-to-relationship-quality/

これまでの研究では性的自己開示、つまり性行為における好き嫌いをパートナーに打ち明けることは、性的満足度や関係満足度、そして感情的な親密さの向上と関連付けられています。また、パートナーとの親密さや性的満足度の理論的枠組みにおいても、肯定的な関係性の中で性的情報を共有することは、感情的な親密さと性的調和を促進するものであるとされています。


しかし、これまでに行われた研究のほとんどは、性的自己開示を単一で不変のコミュニケーション形態として扱ってきました。実際のところ性的自己開示には、「性的に好きなことを打ち明ける」という場合と、「性的に嫌いなことを打ち明ける」という場合があり、これがパートナーの反応や関係性に影響する可能性は十分に存在します。

他分野のコミュニケーションに関する研究では、人々は一般的に批判や否定的な自己開示よりも、肯定的な自己開示により良い反応を示すことがわかっています。性的関係においても同様に、嫌いなことを表明することは拒絶や批判、性的不適合のシグナルとして解釈されるリスクがあるそうです。

そこで、中国の華東師範大学の博士課程に在籍するツィイー・リー氏らの研究チームは、性的自己開示の種類が関係性に及ぼす影響について調査しました。リー氏は、「性的な好き嫌いを告白することは、しばしば肯定的な行動としてまとめられますが、経験からすると両者は異なることが示唆されています。嫌いなことを告白することは、往々にしてより困難に感じられ、より大きな対人関係のリスクを伴います。そこで、両者が本当に同じ効果を持つのか疑問に思ったため、性的な幸福感と人間関係の幸福感との関連性を個別に検証したいと考えました」と述べています。


研究チームはオンライン調査プラットフォームを用いて、中国在住の異性愛者の被験者を625人集めました。被験者のうち女性は315人、平均年齢は32歳で、いずれも異性のパートナーと性的関係を持っており、過去1カ月以内に少なくとも1回は当該パートナーと性行為を行ったことがありました。

被験者はパートナーに対して性的な好き嫌いをどれだけ開示したのか、性的関係や恋愛関係にどれだけ満足しているのか、感情的な親密さや性機能について測定する一連の自己申告アンケートに回答しました。また、性的自己開示を行った際のパートナーの反応や、性的ではない自己開示についても調査されたとのこと。

さまざまな要因を考慮して分析した結果、「性的に好きなこと」を開示することは一貫してパートナーとより良い関係を築くことにつながりました。性的嗜好を開示した人はパートナーとの関係の満足度や親密さが高く、女性においては性機能も向上したと報告されています。

一方、「性的に嫌いなこと」の開示はより複雑な結果をもたらしました。性的に嫌いなことをより多く開示した人は、パートナーとの関係の満足度や親密さが低い傾向がみられましたが、ほとんどの被験者において性的満足度や性機能との強い関連はありませんでした。これらの結果は、性的に嫌いなことの開示は望ましくない経験を避ける役に立つものの、開示が何かへの批判と受け止められた場合、感情的なデメリットをもたらす可能性を示唆しています。

さらに「性的に嫌いなこと」の開示には性別特有のパターンもあり、男性の場合は開示した際のパートナーの反応が鈍かった場合、勃起機能の低下がみられました。この関連性は、パートナーから開示内容について理解され、自分が受け止められたと感じた場合に消失したとのこと。女性の場合はパートナーからの反応が鈍くても、「性的に好きなこと」の開示が多いことで性機能に対する負の影響が打ち消され、パートナーからの反応が肯定的であればたとえ「性的に好きなこと」の開示が少なくても、良好な性機能が保たれたとのことです。


今回の研究は、「性的に好きなこと」と「性的に嫌いなこと」の開示が、パートナーとの関係において重要であることを示唆しています。しかし、あくまで研究結果は横断的なデータに基づいたものであり、因果関係を証明したものではない点に注意が必要です。

リー氏は、「重要なポイントは、より多くの性的快楽を得たいなら、それをパートナーに伝えるのが必要不可欠だという点です。これはより高い性的・関係の満足度と関連していることがわかりました。避けたいことについては建設的なフィードバックを心がけるのが効果的です。単に性的な嫌悪感を伝えるだけでは、パートナーは対応に迷ってしまう可能性があります。嫌悪感を伝えるだけではなく、代わりに自分が楽しめる代替案を提案してみてください。これによってパートナーは、次に何をするべきなのかについて明確で前向きな指針を得られます」とアドバイスしました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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