メモ

ロシア軍のスパイ船「ヤンタル」がヨーロッパ全土の海底通信ケーブルの地図作成と傍受を行っているとの指摘


ロシアの特殊諜報・調査船「ヤンタル」が北ヨーロッパ沖を航行しているとの情報があり、西側当局の間で警戒が高まっていると伝えられています。ヤンタルは海底ケーブルの真上を航行していたことが確認されており、データの収集と破壊工作の基盤を築いているのではないかと考えられています。

The Russian spy ship stalking Europe’s subsea cables
https://www.ft.com/content/0b351091-3f82-4f2f-bef2-a52a35f009f2

Russia Accused Of Preparing Sabotage Ops Around British Isles Based On Spy Ship Movements | ZeroHedge
https://www.zerohedge.com/geopolitical/russia-accused-preparing-sabotage-ops-around-british-isles-based-spy-ship-movements

ヤンタルは遅くとも2023年秋から活動していると考えられている調査船で、その不審な航行ルートと装備から諜報活動に従事しているものだと西側から判断されています。NATOの高官は「ヤンタルは我々に警戒心を抱かせるための道具だ」と指摘し、以前から監視を続けていると話しています。

経済紙Financial Timesが実施した取材では、ヤンタルがヨーロッパ各地を航行していることが確認されています。例えば、アイルランド海中央部にある海底ケーブルや、ノルウェーとスヴァールバル諸島を結ぶ海底ケーブル付近、イギリス領海などでヤンタルの姿が目撃されています。

by Andrey Luzik

Financial Timesは、ヤンタルを管轄しているのはロシアの極秘軍事組織「ロシア深海研究総局(GUGI)」だという当局の見解を共有しています。GUGIは主に潜水艦やヤンタルのような水上艦を取り扱う機関で、活動は極秘扱いであり、高度な訓練を受けたロシア人深海潜水士の極少数のみが関与を許されているとのこと。

GUGIは2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、しばらくは鳴りを潜めていましたが、2023年末から再び活動を始めたことが分かっています。西側当局は、GUGIが「あらゆる種類の秘密作戦」を遂行できる能力を有すると見ており、破壊工作活動や、海底ケーブルのマッピング、データの傍受を行う可能性があるという懸念を抱いているそうです。

海底ケーブルは離れた地域の通信を行う上で必要不可欠なもので、侵害されると多方面に影響を及ぼします。特に機密性が高いとされているのは、敵潜水艦の動きを監視するアメリカとイギリスの共同軍事ネットワーク「統合海底監視システム」のデータを伝送するケーブルで、西側当局はこれが侵害されることを恐れています。


ヤンタルにはマニピュレーターアームを備えた潜水艇を投下し、軍事・インターネットケーブルを盗聴して情報を傍受したり、将来爆発させるための爆薬を仕掛けたりする能力があるとされています。また、海底通信ケーブルを通過するパルスの周波数を変更し妨害する可能性があり、これにより高頻度取引などの時間に依存する産業に深刻な混乱が生じる恐れがあると見られています。

アイルランド政府は安全保障強化に取り組んでおり、水中ソナーの開発に6000万ユーロ(約105億円)投じています。イギリスも対応を強化しており、2025年夏には国家安全保障顧問がイギリス海軍に海底インフラの警備に関する専任の責任を委任しました。イギリスやノルウェーなどは、ロシア船籍が侵入しうる海域「GIUKギャップ」の監視を強めるため、軍艦とP-8哨戒機をローテーションで配備しているとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
海底ケーブルインフラを保護するためにNATOが「海上ドローン」を配備 - GIGAZINE

ロシアの破壊工作が疑われたバルト海の海底ケーブル損傷について「やっぱり事故の可能性が高い」と当局者は考え始めている - GIGAZINE

フィンランドが海底送電ケーブルの損傷についてロシアの「影の船団」の犯行を疑い捜査中 - GIGAZINE

海底通信ケーブルの耐障害性強化のため国際的な諮問委員会が設立される - GIGAZINE

in Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article Russian military spy ship 'Yantar' is sa….