中国のドローンメーカー・DJIを「中国の軍事企業」にアメリカ国防総省が分類できるとの判決が下る

世界最大のドローンメーカーであるDJIは、2022年にアメリカ国防総省が作成した中国軍関連組織リストにDJIの名前が追加されて以来、「証拠なしに『中国軍事企業』と呼ばれたことで不当に非難されてきた」として2024年10月にアメリカ国防総省を提訴しました。訴訟の結果、DJIが中国の軍事産業に直接関連しているとは結論付けられなかったものの、「国防総省には、中国軍関連組織リストに属する企業について広範な裁量権がある」と判断が下っています。
Pentagon can call DJI a Chinese Military Company, court rules | The Verge
https://www.theverge.com/news/786540/dji-loses-chinese-military-company-lawsuit-dod

DJI Loses Its Lawsuit Against the Pentagon, Remains Designated a Chinese Military Company in US | PetaPixel
https://petapixel.com/2025/09/26/dji-loses-its-lawsuit-against-the-pentagon-remains-designated-a-chinese-military-company-in-us/
アメリカの議会は国防権限法第1260H条に基づいて、アメリカで直接または間接的に活動している「中国軍事企業」と見なされる企業をリスト化しています。2025年1月時点のリストは、政府の公式サイトから確認できます。リストに指定される要件としては、「軍や党、国家機関による直接または間接的な所有・支配」「中国の防衛産業に貢献していると認定される」などが考えられます。リストに入ると、アメリカ政府との契約や公的補助金、その他プログラムの参加に制約を受ける可能性があります。
世界最大のドローンメーカーで中国に本社を置くDJIは、2022年にアメリカ国防総省が作成したリストに追加されました。リストに入ったことで、「ビジネス取引を失い、国家安全保障上の脅威としてアメリカ政府から烙印を押され、複数の連邦政府機関との契約を禁止されており、同社の従業員は頻繁かつ広範囲にわたる烙印を押されたことで、公共の場で繰り返し嫌がらせや侮辱を受けている」とDJIは主張し、リストからの除外を求めるべく2024年10月18日にアメリカ国防総省を訴えました。
世界最大のドローンメーカーDJIが「中国軍関連企業」と不当に非難されたとしてアメリカ国防総省を提訴 - GIGAZINE

DJIは自社が中国政府に所有も管理もされていないほか、コンサルティング会社や国防総省を含むアメリカ政府機関による独立監査により、DJIに安全保障上の脅威は見つかっていないことなどを繰り返し主張しました。一方で、DJIはアメリカ財務省にも「中国軍産複合体企業」としてブラックリスト認定されているなど、アメリカの複数の機関で監視または規制の対象となっています。
訴訟の結果、アメリカ地方裁判所のポール・フリードマン判事は、DJIの訴えを退ける判決を下しました。フリードマン判事は「DJIが中国共産党や軍に間接的に支配されているという点については、証拠が十分とは言えない」と判断した上で、DJIは「軍民融合貢献企業」と称されるのに十分なほど中国政府から支援と承認を得ており、国営企業がDJIの一部株式を保有していることを示す十分な証拠があることから、アメリカ国防総省の判断は妥当であると結論付けました。
また、アメリカ国防総省には国家安全保障に関わる分野で「広範な裁量」が認められており、DJIを「中国軍事企業」と見なす権限を持っている点でもアメリカ国防総省の正当性が認められました。例えば、DJIは「類似した特性を持っている別の企業は同じように扱われていない」と主張しましたが、フリードマン判事は「中国軍事企業リストにどの企業が属するか、属さないかを決定する広範な裁量権が、アメリカ国防総省にはある」と述べています。

アメリカでは2024年に「中国共産党製ドローン対策法」が可決されており、DJIはドローンの通信や制御のための周波数帯にアクセスできなくなっています。また、2024年12月には「DJIが『適切な国家安全保障機関』を説得し、DJIのドローンがアメリカの国家安全保障に容認できないリスクをもたらさないことが認められない場合、事実上全てのDJI製品の輸入を禁止する」という国防権限法の改正条項が上院で可決されました。この法律の期限は1年と定められているため、2025年12月にはDJIがアメリカで一切の販売をできなくなる可能性があります。
DJIのドローン制限法案がアメリカ下院で可決、上院でも可決されればDJIのドローンは大きな痛手を負うことに - GIGAZINE

DJIの広報担当者デイジー・コン氏はメディアに対し、「DJIは、裁判所がDJIの主張を認め、国防総省が主張するDJIのリスト掲載の正当性の大半を却下したことを喜ばしく思いますが、それでも裁判所がリスト掲載を支持したことには失望しています。DJIは現在、この判決を踏まえ、法的選択肢を検討しています」と声明を送り、控訴を検討中だと述べています。
・関連記事
DJIのドローン制限法案がアメリカ下院で可決、上院でも可決されればDJIのドローンは大きな痛手を負うことに - GIGAZINE
DJIのドローンを事実上使用禁止にする法案が登場 - GIGAZINE
世界最大のドローンメーカーDJIが「中国軍関連企業」と不当に非難されたとしてアメリカ国防総省を提訴 - GIGAZINE
トランプ大統領の命令でDJIなど中国のドローンメーカーがアメリカで新モデルを発売できなくなる可能性が浮上 - GIGAZINE
自動車の屋根に搭載できるドローン発射システム「霊鳶(Lingyuan)」をBYDがDJIと共同開発 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in メモ, Posted by log1e_dh
You can read the machine translated English article A ruling has been made that the US Depar….