Microsoftがパレスチナ監視を理由にイスラエル軍部隊へのクラウドサービスを停止

イスラエル国防軍(IDF)がパレスチナ市民を監視するのにMicrosoftのクラウドサービスであるAzureを利用しているという疑惑を受け、独自の調査を行ったMicrosoftが、イスラエル国防省の特定部門へのサービス提供を停止したと発表しました。
Microsoft blocks Israel’s use of its technology in mass surveillance of Palestinians | Israel | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2025/sep/25/microsoft-blocks-israels-use-of-its-technology-in-mass-surveillance-of-palestinians
Microsoft cuts cloud services to Israeli military unit over Palestinian surveillance | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/09/25/microsoft-cuts-cloud-services-to-israeli-military-unit-over-palestinian-surveillance/
現地時間の2025年9月25日、Microsoftのブラッド・スミス副会長兼社長が、Microsoftの社員向けにメッセージを共有しました。スミス副会長によるメッセージの内容は以下の通り。
Update on ongoing Microsoft review - Microsoft On the Issues
https://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2025/09/25/update-on-ongoing-microsoft-review/

「イスラエル国防省(IMOD)の特定部門に対する一連のサービス提供を終了し、機能を無効化したことをお知らせします。このトピックについて多くの方が関心を持っていることを承知しており、今回の判断について詳しく説明します。
まず状況を説明します。最近頻繁にお伝えしてきた通り、Microsoftは政府や国家ではなく企業です。すべての企業と同様、我々は提供する製品・サービスを自ら決定しています。
8月15日に公表した通り、8月6日にThe Guardianで報じられたイスラエル国防軍(IDF)の一部隊についての疑惑を調査することを決めました。この記事では「複数の人物が、IDFがガザとヨルダン川西岸の市民を対象とした広範な監視で得た通話データをMicrosoftのクラウドサービスであるAzureに保存している」と証言していました。
私たちはこの疑惑を調査するため、Microsoftの長年のプライバシー保護原則に基づいた2つの方針で進めてきました。社員全員がプライバシー保護の重要性を共有しており、これはお客様の信頼を担保するためのビジネス価値にもなっています。
第一に、私たちは市民の大量監視を可能にする技術を提供していません。この方針は世界中のいかなる国も例外なく適用しており、20年以上堅持してきました。そのため8月15日には、Microsoftの標準利用規約で市民の大量監視目的での技術利用を禁じていると公に説明しました。
第二に、お客様のプライバシー権を尊重・保護します。これには、今回の調査でもお客様のコンテンツにMicrosoftがアクセスしないということが含まれます。
8月15日以降、社内方針・契約・顧客への約束を守りながら、これら2つの原則に従って調査を進めてきました。MicrosoftがIMODの顧客データにアクセスすることは一度もなく、調査はMicrosoft自身のビジネス記録、財務諸表、内部文書、メールやメッセージ通信など自社の記録のみを対象として進めています。
調査は現在も継続中ですが、The Guardianの報道内容の一部を支持する証拠を発見しています。具体的には、IMODがオランダ拠点のAzureとAIサービスを利用していたという事実などです。
そのため、IMODに対し、特定サブスクリプションと関連サービス(クラウドストレージやAIサービス・技術)の停止・無効化を決定し通知しました。IMODとこの決定を共有し、利用規約違反防止と市民大量監視に使われないために必要な措置を確認しています。
この判断は、最近の社員集会でも述べたとおり、イスラエルや中東諸国のサイバーセキュリティ保護などMicrosoftの重要な活動には影響しません。アブラハム合意下でも継続して同様の取り組みを行います。
最後に、The Guardianの報道に感謝を述べたいと思います。記事はMicrosoftが顧客プライバシーのためにアクセスできなかった社外情報に基づいており、調査の参考になりました。
社員の皆さんの関心と疑問には理解があります。調査は続行中であり、今後も適切なタイミングで詳細や教訓、今後の対応についてお知らせします。
Microsoftは今後も原則と倫理に則った企業運営を続けます。あらゆる判断、発言、行動についてこの基準を絶対に妥協しません。」

なお、Microsoftは過去1年間、イスラエルとの関係をめぐり、従業員と外部の両方から批判にさらされてきました。2025年4月の創立50周年記念式典では、Microsoftとイスラエルの関係に関する抗議活動が起きました。8月にも複数の従業員がスミス副会長のオフィスで座り込みを行い 、オフィスが封鎖されました。
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in ネットサービス, Posted by logu_ii
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