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TikTokが13歳未満の子ども数十万人から機密性の高い個人データを収集していたことが判明


ソーシャルメディアアプリ「TikTok」に関するカナダ政府および各州のプライバシーコミッショナーが実施した合同調査の結果、TikTokが13歳未満のカナダ人数十万人から機密情報を収集していたことが明らかになりました。報告書によると、そもそもTikTokは13歳未満の利用を規約で禁止しているにもかかわらず、13歳未満の子どもがアクセスできないようにする対策が不十分であることも指摘されています。

News release: Joint investigation into TikTok highlights privacy concerns related to the collection and use of children’s personal information - Office of the Privacy Commissioner of Canada
https://www.priv.gc.ca/en/opc-news/news-and-announcements/2025/nr-c_250923/


PIPEDA Findings #2025-003: Joint investigation of TikTok Pte. Ltd. by the Office of the Privacy Commissioner of Canada, the Commission d’accès à l’information du Québec, the Office of the Information and Privacy Commissioner for British Columbia, and the Office of the Information and Privacy Commissioner of Alberta - Office of the Privacy Commissioner of Canada
https://www.priv.gc.ca/en/opc-actions-and-decisions/investigations/investigations-into-businesses/2025/pipeda-2025-003/

Backgrounder: Investigation into TikTok and user privacy - Office of the Privacy Commissioner of Canada
https://www.priv.gc.ca/en/opc-news/news-and-announcements/2025/bg_tiktok_250923/

Privacy commissioners find TikTok collected sensitive data from Canadian children | CBC News
https://www.cbc.ca/news/politics/tiktok-privacy-commissioners-1.7640974

TikTokはユーザーがアプリ運営に直接提供するデータと、ユーザーのプラットフォーム利用状況から得られるデータの両方を収集しています。カナダの連邦プライバシーコミッショナーらによる共同の調査では、TikTokがユーザーの個人情報をどのように収集し使用しているかを調査しました。特に、若年ユーザー(子ども)のデータをどのように扱っているかが注目されています。


調査の結果、カナダでは毎年数十万人もの子どもたちがTikTokのプラットフォームにアクセスしており、TikTokが彼らの個人情報を収集・利用していることが判明しました。TikTokは13歳未満のユーザーの利用を規約で禁止していますが、「13歳未満のユーザーが年齢に適していないアカウントでTikTokを使用していると思われる場合はTikTokに報告してください」と規約に記載している程度で、「子どもたちをプラットフォームから遠ざけるための対策が不十分である」と報告書では指摘しています。

また、調査により、TikTokは「生年月日や所在地、その他の個人情報を含むユーザー提供データ」「IPアドレスやGPSデータなどのデバイス情報」「視聴したコンテンツや時間、コメントしたものや購入したものなどの行動データ」「ユーザーの連絡先リスト、その他のSNSプロフィール上の『友達』に関するデータ」「顔認識と生体認証データ」を収集していたことが判明しました。さらに、子どもを含むユーザーから得たデータで各ユーザーのプロフィールを作成し、それに基づいてターゲティング広告の配信やカスタマイズされたコンテンツを配信していることも分かっています。


加えて、連邦プライバシーコミッショナーは、「TikTokは、ユーザーをターゲットにした広告を配信したりコンテンツをパーソナライズしたりするためにどのような情報を収集して使用するのかなど、重要な情報を事前にユーザーに提供していなかった」と指摘しました。具体的には、プライバシーポリシーに十分な説明がなかったことや、カナダの公用語の一つであるフランス語で重要なプライバシー情報が提供されていなかったことが問題視されています。

子どもの情報をTikTokが収集することで、個人情報が収集されているという問題のほか、子どもがTikTokから受け取る情報についても懸念されています。ターゲティング広告やカスタマイズされたコンテンツ配信は、特定の好みを持つ子どもに対して偏った情報を提供するため、若者の正常な発達とアイデンティティの探求を妨げる可能性があります。また、一部の偏った意見や身体的イメージ、ジェンダーの固定観念などに子どもたちをさらしてしまう危険性もあります。


調査についての報告の結果、TikTokはプライバシー慣行を改善するための措置を講じることを連邦プライバシーコミッショナーに対して約束しています。公約には、子どもたちがTikTokにアクセスできないようにする対策を強化するほか、18歳未満のユーザーにターゲティング広告を表示する事を停止すること、特に10代の若者向けにプライバシー保護の取り組みについて分かりやすく説明する方法の改善が含まれています。

連邦プライバシーコミッショナーのフィリップ・デュフレーン氏は「TikTokはカナダで最も広く利用されているSNSアプリの一つであり、調査の結果、子どもを含む若者の個人データプロファイルが、時として彼らに直接的かつターゲットを絞った広告コンテンツに利用されていることが明らかになりました。これは、彼らの健康に有害な影響を及ぼす可能性があります。これは、カナダのプライバシー法の対象となる組織が、特に若年層ユーザー向けにサービスを設計・開発する際に考慮すべき重要な点を浮き彫りにしています。カナダの若者の生活においてテクノロジーがますます中心的な役割を果たすようになるにつれ、若者がデジタル世界を安全に利用できるようになるために、彼らの最善の利益を最優先に考えなければなりません」とコメントしました。

また、ブリティッシュコロンビア州プライバシーコミッショナーのマイケル・ハーベイ氏は「TikTokが収集した個人データから作ったユーザーのプロファイルが、あまりに精巧で驚きました」と述べた上で、「子どもたちの世界観はソーシャルメディアによって形作られています。こうした発達途上の世界観は、子どもたち自身、そして彼らを気遣う大人たちが理解することはもちろん、ましてやコントロールすることなど到底不可能な形で形成されてきました。子どもたちやその家族にこれらのプラットフォームを安全に利用するための負担を負わせるのではなく、根本原因に対処する必要があります」とプラットフォーム上で子どもたちを保護する重要性を語っています。

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in ソフトウェア, Posted by log1e_dh

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