ハードウェア

Microsoftが髪の毛並に細い溝をチップ裏に彫って冷却液を流す「マイクロ流体冷却」技術を開発


最新のAIチップは従来世代のチップよりもはるかに多くの熱を発生させるため、今の冷却技術では数年以内に性能向上の妨げになると予測されています。Microsoftが、AI(人工知能)チップの性能向上に伴う発熱問題に対処するため、「マイクロ流体冷却」と呼ばれる新しい液体冷却技術を開発し、そのテストに成功したことを発表しました。

AI chips are getting hotter. A microfluidics breakthrough goes straight to the silicon to cool up to three times better.  - Source
https://news.microsoft.com/source/features/innovation/microfluidics-liquid-cooling-ai-chips/

Introducing microfluidic cooling: a breakthrough in chip cooling technology - YouTube


マイクロ流体冷却は、シリコンチップの裏側に「マイクロチャネル」と呼ばれる、人間の髪の毛ほどの微細な溝をエッチングという手法で彫り、その中に冷却液を流すことで、熱源であるチップを直接冷却する方法です。これにより、データセンターで広く使われているコールドプレートという冷却技術と比較して、最大で3倍の熱除去性能を実現したとMicrosoftは述べています。


また、GPU内部のシリコンの最大温度上昇を65%削減することにも成功したとのこと。さらに、AIを活用してチップ上の熱分布を特定し、冷却液をより精密に供給することで効率を高めることにも成功。冷却性能が上がることで、発熱が大きな障壁となっているチップの3D積層化など、新しいチップアーキテクチャの実現が後押しされる可能性があります。


Microsoftによれば、マイクロチャネルの設計は難度が高く、冷却液を詰まらせずに十分な量を循環させ、かつシリコン自体の強度を損なわない最適なチャネルの設計が求められたとのこと。Microsoftは過去1年間だけで4回の設計改良を重ねたそうです。Microsoftは最終的に、スイスのスタートアップ・Corintisと協力し、葉脈や蝶の羽から着想を得たデザインをAIで最適化したものを採用しています。


Microsoftは、チップからサーバー、データセンター全体に至るスタックのあらゆる部分を最適化する「システムアプローチ」を重視しており、この冷却技術はその中核をなすものと位置づけています。最終的には、この技術を自社だけのものとせず、業界全体で利用可能な標準技術へと発展させ、より効率的で持続可能な次世代チップの普及に貢献したい考えを示しました。

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in 動画,   ハードウェア, Posted by log1i_yk

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