サイエンス

海洋温暖化が地球の酸素供給において重要な微生物を脅かしているとの研究結果


地球に存在する酸素は植物や微生物の光合成によって生成されており、地球上で最も豊富な光合成生物が海洋性のシアノバクテリアの一種であるプロクロロコッカスです。そんなプロクロロコッカスが、これまで考えられていたよりも海水温の上昇に対して脆弱(ぜいじゃく)な可能性があるとの研究結果が報告されました。

Future ocean warming may cause large reductions in Prochlorococcus biomass and productivity | Nature Microbiology
https://www.nature.com/articles/s41564-025-02106-4

Ocean warming puts vital marine microbe at risk | UW News
https://www.washington.edu/news/2025/09/08/ocean-warming-puts-vital-marine-microbe-at-risk/

Ocean Warming Threatens Microbe That Makes Nearly a Third of Earth's Oxygen : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/ocean-warming-threatens-microbe-that-makes-nearly-a-third-of-earths-oxygen

酸素は人間を含む多種多様な生物にとって必要不可欠なものであり、さまざまな植物や藻類、シアノバクテリアなどが酸素を生成する役割を果たしています。中でも海に生息するプロクロロコッカスは並外れて豊富であり、食物連鎖においても重要だといわれています。

by Chisholm Lab

プロクロロコッカスは太陽光が当たる海洋表層水の75%以上に生息しており、特に温暖で栄養分の少ない熱帯地方とその周辺地域で多くみられます。プロクロロコッカスは極めて小さいため、エサをほとんど必要とせず、それによって栄養の少ない海域でも生き残ることができるとのこと。

ワシントン大学の海洋学者であり論文の筆頭著者を務めるフランソワ・リバレ氏は、「熱帯の沖合にはプロクロロコッカス以外の生物がほとんど存在しないため、海水は鮮やかで美しい青色をしているのです」と語っています。


熱帯地方に適応していることを考えると、地球温暖化に伴って海水温が上昇していったとしても、プロクロロコッカスは繁栄し続けるかもしれないと考える専門家もいます。しかし、プロクロロコッカスに関するこれまでのデータは主に研究室で培養された細胞から得られたものであったため、リバレ氏らの研究チームは自然環境に生息するプロクロロコッカスからデータを収集しました。

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in 無料メンバー,   サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

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