サイエンス

世界で初めてAIでウイルスのゲノムを設計することに成功

by Applied Microbiology International

スタンフォード大学、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターArc Instituteの研究チームが、世界で初めて言語モデルを用いてバクテリオファージのゲノムを設計したことを発表しました。この研究成果は、プレプリントサーバーのbioRxivで公開されています。

Generative design of novel bacteriophages with genome language models | bioRxiv
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2025.09.12.675911v1

World’s first AI-designed viruses a step towards AI-generated life
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03055-y

研究チームが用いたゲノム言語モデルは、DNAやRNA、タンパク質の配列を「言語」として捉え、その文法や意味を学習するAIモデルです。ゲノム言語モデルは、DNAの塩基配列を文章における単語のように扱い、膨大な数のゲノム配列データを読み込むことで、どの遺伝子がどのような機能を持つのか、遺伝子同士がどのように相互作用するのかといった、生命活動の根幹をなす「文法」を学習します。


今回の研究で使われた「Evo 1」と「Evo 2」というモデルは、バクテリオファージをはじめとするウイルスのゲノム200万種類以上を含む、非常に大規模なデータセットで事前学習されています。研究チームは、この事前学習済みモデルを、Microviridaeという一本鎖DNAを持つバクテリオファージのゲノム約1万5000種類で追加学習しました。これにより、Evo 1とEvo 2は特定の機能を持つウイルスを、より高い精度で設計することが可能になりました。

そして、研究チームはAIによって生成された数千のゲノム配列を評価し、候補を302種類に絞り込みました。これらの設計からDNAを合成し、宿主となる細菌に導入してファージを生成。さらに検証を重ねた結果、16種類の生存可能なファージが作成されました。


実際にAIによって設計されたファージの電子顕微鏡写真が以下。

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in 無料メンバー,   AI,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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