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中国政府がNVIDIA製AIチップ購入の全面禁止を大手テック企業に指示、NVIDIAのCEOは「がっかりした」とコメント


中国のインターネット規制当局である中国サイバースペース管理局(CAC)が、ByteDanceやAlibabaを含む国内の大手テクノロジー企業に対し、NVIDIA製のAI(人工知能)チップの購入を禁止したと報じられました。この措置は、中国市場向けに特別に設計された「RTX Pro 6000D」や「H20」といった製品を対象としています。

China bans tech companies from buying Nvidia’s AI chips
https://www.ft.com/content/12adf92d-3e34-428a-8d61-c9169511915c

Nvidia CEO disappointed after reports China has banned its AI chips
https://www.cnbc.com/2025/09/17/nvidia-ceo-disappointed-after-reports-china-has-banned-its-ai-chips.html

この問題は、アメリカが「国家安全保障上の懸念」という名目で、NVIDIAの高性能AIチップ「H100」などの中国への輸出を大きく制限したことに端を発しています。NVIDIAは輸出制限にかからないように、RTX Pro 6000DやH20といった中国向けのチップを別途設計し、米中間の貿易戦争が行われる中でも中国への輸出販売を実現しました。

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しかし、2020年にNVIDIAがコンピューターネットワーク供給業者・Mellanoxを70億ドル(約1兆1000億円)で買収した件について、中国は独占禁止法の疑いで調査を進めており、2025年9月に「NVIDIAは独占禁止法に違反していた」という予備調査結果を発表しました。

中国が「NVIDIAは独占禁止法に違反した」と主張 - GIGAZINE


Financial Timesの報道によれば、CACは対象企業に対し、すでに進めていた「RTX Pro 6000D」のテストを中止し、発注をキャンセルするよう指示しましたとのこと。この時点で、複数の企業が数万個単位での購入に関心を示していたそうです。

中国政府がこの決定を下した背景には、HuaweiやCambriconといった国内メーカーが製造するAIチップの性能が、NVIDIAが中国向けに提供している製品と同等か、それを上回るレベルに達したという判断があるとのこと。この動きは、アメリカの技術への依存から脱却し、国内の半導体産業を育成しようとする中国政府の取り組みが強化されていることを示しています。


ある中国のテクノロジー企業の幹部は、「以前は地政学的な状況が改善すればNVIDIAは公式ブログからの供給が再開されるという希望もあったが、今は国内システムの構築に総力を挙げている」と述べています。

この報道を受け、NVIDIAの株価は約3パーセント下落。ジェンスン・フアンCEOはロンドンで取材に応じ、「この状況にはがっかりした」と述べつつも、「中国とアメリカの間には、より大きな課題があることを理解している。我々は忍耐強く対応する」とコメントしました。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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