地球滅亡レベルの巨大隕石を破壊することは可能なのか?

巨大隕石の衝突は生物の大量絶滅を引き起こすほどの大災害をもたらします。地球に飛来する小惑星を衝突前に破壊する方法について、教育系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが解説しています。
Can Humanity Stop A Planet-Killing Asteroid? - YouTube

巨大な小惑星は地球にたびたび接近しており、2023年には20階建てビルに相当するサイズの「2023 NT1」が月より近い位置にまで近づいていたことが明らかになっています。しかし、人類が2023 NT1の存在に気付いたのは地球の近くを通りすぎた後でした。
「20階建てのビルサイズの隕石」が地球に接近して月より近い位置を通ったが天文学者らは2日後まで気づかなかった - GIGAZINE

同様の事例は他にも発生しており、2019年には広島型原爆3000発分に相当するエネルギーを持った「2019 OK」が飛来し、2024年には広島型原爆9000発分に相当する「2024 MK」が地球に接近していました。

これらの小惑星が地球に衝突した場合、大規模な被害をもたらす可能性があります。

小惑星の衝突による被害を抑える方法として「軌道をずらす」「破壊する」といったアプローチが考えられます。このうち「軌道をずらす」という行為は「大型タンカーにジャガイモ袋を投げ付けるようなもので、あまり効果的とはいえない」とKurzgesagt。一方で、小惑星はチリや氷などの集合体であり意外ともろいため、「破壊する」という方法は現実的な選択肢です。

地球上に存在する破壊兵器の中でも強力なのが核兵器です。

しかし、「衝撃波は真空中を伝わらない」という特性によって核兵器の威力は非常に限定的なものとなります。

「勇敢な宇宙飛行士を小惑星に派遣し、小惑星に穴を掘り、核兵器を埋め込んで内部から破壊する」というアイデアもあります。

しかし、高速で移動する小惑星に安全に着陸することは非常に困難。さらに、重力の小さい小惑星上では穴を掘ることも難しいです。このため、この作戦は実行不可能です。

Kurzgesagtは有力な手段として「タングステン製の非常に硬質な貫通体」を使う方法を挙げています。

小惑星の軌道上に貫通体を配置することで、小惑星を木っ端みじんに破壊する作戦です。

直径100mの小惑星が地球に接近しているシチュエーションを考えます。

地球の近くで破壊した場合、大きな破片が地球に降り注ぐため、非常に危険。

このため、破壊作戦は地球から200万km離れた地点で実施する必要があります。

長さ2m、重さ2.5トンの貫通体をロケットで宇宙に運びます。

貫通体を小惑星の予測通過点に配置。

超高速で進む小惑星が貫通体に衝突します。

すると、小惑星はそのまま進み続け、貫通体によって穴が空いていきます。この時の威力は120トンのトリニトロトルエン(TNT)の爆発に相当します。

これにより、小惑星を爆散させることができます。

十分に離れた距離で破壊したことにより、地球に被害は及ばず、空に無数の光が輝く天体ショーを楽しめるとのこと。

100mクラスの小惑星なら上記の方法で破壊できますが、太陽系の外から飛来する巨大彗星の場合は話が変わってきます。巨大彗星は山のような大きさで、速度は時速14万kmに及びます。

2020年に地球に接近したネオワイズ彗星の場合、地球上のすべての核爆弾の合計値より6000倍大きなエネルギーを持っていました。このクラスの天体が地球に衝突した場合、生命の滅亡は避けられないでしょう。

巨大彗星を安全に破壊する場合、地球と火星くらい離れた距離で破壊する必要があります。

上述の貫通体を使う場合、数十万個もの貫通体を用意する必要があります。しかし、現時点の地球文明ではこの数の貫通体を宇宙へ運ぶことはできません。

そこで、「より大きな10トンの貫通体を4個と、核弾頭を搭載した貫通体1個を彗星の軌道上に正確に配置する」という作戦を採用します。

この作戦では貫通体の位置合わせが非常に重要です。

まず、1個目の貫通体が彗星に衝突。

彗星の外殻に穴が空きます。

そして、1個目の貫通体で作り出した穴とまったく同じ位置に2~4個目の貫通体が侵入します。

これで、彗星のもろい部分に届く深い穴が完成しました。

この穴に向かって核弾頭を搭載した貫通体が侵入していきます。

この貫通体にはTNT3億トン分のエネルギーに相当する核弾頭が搭載されています。

彗星の内部で核爆発。

これで彗星を破壊することに成功しました。

Kurzgesagtは上記の方法を用いることで現代の科学技術でも小惑星や彗星を破壊できると主張しています。ただし、貫通体を用いた破壊方法を実行するには危険な天体を早期に発見する必要がある点が課題となりそうです。
・関連記事
カメラ付きインターホンで「隕石衝突の瞬間」の録画に成功、大きな衝撃音もバッチリ録音 - GIGAZINE
1000万円の価値がある隕石が80年間ドアストッパーに使われていたという事例 - GIGAZINE
「20階建てのビルサイズの隕石」が地球に接近して月より近い位置を通ったが天文学者らは2日後まで気づかなかった - GIGAZINE
隕石の衝突で人類が滅亡する危険性はあるのか? - GIGAZINE
「もしここに隕石が落ちるとどうなるのか?」を地図でクリックするだけでシミュレーションできる「Asteroid Launcher」 - GIGAZINE
恐竜を絶滅させた小惑星衝突で生じた津波は高さ1.5kmに達して48時間でほぼすべての海岸線に到達した - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, 動画, Posted by log1o_hf
You can read the machine translated English article Is it possible to destroy a meteorite th….