なぜ西洋人は海藻をあまり食べないのか?日本とイギリスを比較した研究が発表される

海藻は栄養価が高く、環境負荷の低い持続可能な食品として注目されていますが、西洋ではあまり食べられていません。この理由を探るため、ブルネル大学ロンドン校などの研究チームが、海藻を日常的に食べる日本と、食べる習慣がほとんどないイギリスで比較調査を行いました。
Who eats seaweed? Barriers and motivations in Japan versus the United Kingdom - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0950329325002253
Why are westerners so reluctant to eat seaweed? Our new study reveals the social and psychological reasons
https://theconversation.com/why-are-westerners-so-reluctant-to-eat-seaweed-our-new-study-reveals-the-social-and-psychological-reasons-263002
海藻はビタミン、ミネラル、オメガ3脂肪酸、食物繊維が豊富です。また、その養殖には肥料や農薬、淡水、農地が不要で、二酸化炭素を吸収して海洋の酸性化を緩和する効果も期待されています。栄養面でも環境面でも優れた食品であるにもかかわらず、西洋では食卓に上ることは少なく、寿司などに使われる限定的な食材と見なされています。

今回の調査はイギリスと日本の成人を対象にオンラインで実施され、海藻を食べる頻度、購入のしやすさ、将来食べる可能性、健康への認識などが尋ねられました。その結果、両国で海藻に対する認識や消費者の特徴に大きな違いがあることが明らかになりました。
研究チームは、イギリスでは海藻の消費は民族的マイノリティや大学卒業者の間でより多く見られ、政治的には左派の人々に好まれる傾向があったと報告しています。これは、イギリスにおいて海藻が伝統的な食材ではなく、新しいあるいは代替的な食品として捉えられていることを示唆していると研究チームは論じました。
一方、日本ではイギリスとは対照的に、女性や政治的に右派を自認する人々の間で、より積極的に海藻が消費されていることがわかったとのこと。特に、政治的志向と食文化の関係について、研究チームは「一般的に、政治的な右派は伝統的な価値観や習慣を重視する傾向がある。海藻は日本の食生活に深く根付いた『伝統的な食材』であるため、その価値を重んじる右派の人々によって支持され、消費されていると考えられる」と論じています。また、女性の消費が多い背景には、伝統的な市場へのアクセスや確立された購買習慣が関係しているからではないかと推察しました。

by RuinDig/Yuki Uchida
両国に共通していたのは、「新しい食品を試すことなどを含むリスクを取ることを厭わない人ほど、海藻を食べる傾向が強い」という点でした。また、政府や科学者への信頼といった制度的信頼が与える影響は国によって異なり、日本では政府への信頼が高い人ほど海藻を健康的と見なす傾向がありましたが、イギリスでは同様の関連は見られませんでした。
研究チームは、イギリスのような海藻に馴染みのない国で海藻の消費を増やすためには、単に健康上の利点や環境への貢献を強調するだけでは不十分だと主張しています。海藻消費の最大の障壁は「文化的な馴染みのなさ」であり、人々が自身の食文化の一部と感じなければなかなか手に取ることはありません。海藻が一部の珍しい食材から日常的な食品へと移行するためには、その栄養価や環境面での利点と同じくらい、文化的なつながりを築くことが重要になると研究チームは結論づけました。
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in サイエンス, 食, Posted by log1i_yk
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